『有頂天家族 二代目の帰朝』 読み返すごとに味が出る

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やっぱり夷川早雲、生きてたね。

狸の名門下鴨家の三男・矢三郎は、親譲りの無鉄砲で子狸の頃から顰蹙ばかり買っている。「面白きことは良きことなり」という父の教えを胸に、誰もが恐れる天狗や人間にちょっかいを出しては、愉快に過ごしていた。そんなある日、老いぼれ天狗・赤玉先生の跡継ぎである“二代目”が英国より帰朝。狸界は大混迷し、平和な街の気配が一変する。しかも、人間の悪食集団「金曜倶楽部」は、恒例の狸鍋の具を懲りずに探している…。阿呆の誇りを賭けて、尊敬すべき師を、愛する者たちを、毛深き命を守れ!待ちに待った毛玉物語、再び。愛おしさと切なさで落涙必至の感動巨編。

落涙必至家と言われると、人によるとしか言えませんが。
前作と比べると落涙よりもじんわりと悲しい、寂しい作風になっていると思います。前回のような大団円ではなく、どことなく寂しい、侘しい、そんな感じ。これもこれでありです。

二度目の読了を迎え、やっぱりこの朧寂しい感じが、なんとも言えず心地よい。
三部作の二作目だけに、ちょっと引っ張る具合が絶妙です。

「僕には矢一郎のことがよく分かるのだが、自分の父親があんなに洛中に名高い狸だったら、始終父親に見張られてるみたいで、間違えないでいいことを間違えたりなんかするものですよ。ころころ気楽にやって流れにまかせていれば大きく間違ったことはしないものだけれど、肩肘張って何かしようとしたら、僕らは決まって物事をこじらせてしまう。狸っていうのはそういうものじゃないかしら」
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こういう味わいのあるセリフを、狸が喋るところがこの作品のいいところですね。
落語的。

海星は西洋のお姫様が寝るような天蓋つきベッドで眠っていた。
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海星の乙女チックな一面を覗き見るエロス。
森見さん、萌を出してきましたね。

奇怪な人物が姿を現し、足早に檻に近づいてきた。その人物は旧制高校の黒マントに身を包み、ペラペラの紙でできた安っぽい狸のお面をつけていた。 「ぽんぽこ仮面が助けに来たよ」と淀川教授は言った。
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『聖なる怠け者の冒険』との同作者コラボ。森見さんの十八番ですね。
こういうのがファンには嬉しいんです。単純ですが。

それにしても、まだ森見さんの新作読めていない……。

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都内在住のおじさん。 2児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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