『エロゲー文化研究概論』 感想② やったことないゲーム編

さて、前回はやったことあるゲームで語りましたが、今回はやったことないゲームについて書かれた箇所について。

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やったことないゲームで印象に残った論評

放課後恋愛クラブ

これね、金がなくて買えなかったんですよ。
いまなら買えますね。どっかで買おうかしら。

リビドー作品で私が特に取り上げたいのは、一九九六年一二月一三日に発売された『放課後恋愛クラブ ‐恋のエチュード‐』と一九九七年六月一三日に発売された『放課後マニア倶楽部 ‐濃いの欲しいの‐』の二部作だ。
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彼氏彼女がいない男子三人と女子一二人がサークル「恋愛クラブ」を設立。毎日放課後にファミレスへ集まり、店内で好みの相手と気軽におしゃべりやデートの約束をして恋の練習を楽しんでいく。そして最後に主人公は本当の恋をしたい相手へ告白を……というのが『放課後恋愛クラブ』の内容。派手な事件やイベントなどに一切頼らず、ひたすら日常会話だけでヒロインの性格を描き出し、仲を深めていく仕立てはエロゲー黎明期からの対面会話AVGの由緒ある脈といえるだろう。
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この二部作が面白いのは、まず最初の「恋愛クラブ」をストレートに甘酸っぱい純愛ものとして作っておいてから、次の「マニア倶楽部」はまったく同じ舞台・同じ時間軸・同じ登場人物で、主人公を男子メンバー三人のうち別の少年へ変えてマニア趣味でヒロインにアプローチしていくパラレル設定にした点だ。「恋愛クラブ」で純真な姿をみせた女の子たちが露出、SM、肛虐、スカトロなどに目覚めていくさまは刺激的だった。そして激しいプレイが多いにもかかわらず、全体としては決して陰惨にならず、あっけらかんと明るい雰囲気が保たれている。さらに「マニア倶楽部」は健全な恋愛をしてヒロインと結ばれるルートも選べるため、一粒で二度美味しい構成になっている
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そんな大胆なことをやっていたのね。
今やったら、どんな感想を持つかしら。ともかく、和姦好きなので、ありがたい。

そうそう絵が抽象的で、好みだったんですよね。

アトラク=ナクア

人生で、もっとも長時間プレーさせていただいたアリスソフトの作品らしいですが、残念ながら未プレイです。

そして、本作でなにより目をひくのは、主人公格にしてメインヒロイン・比良坂初音のキャラクターデザインである。長くまっすぐ伸ばしたつややかな黒髪が白い肌にコントラストをなし、漆黒のセーラー服がそれをシックに引き立てる。凛として人間を超越しながら妖艶にまどわし血肉をすする女妖怪のドラマを外見からすばらしく表現しきっており、エロゲーのみならず二次元コンテンツ全般における黒髪ロング美少女キャラクターの大いなる財産といっても過言ではない。

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一般漫画やアニメでも、『笑う標的』『吉祥天女』『羊のうた』『地獄少女』『黄昏乙女×アムネジア』『さんかれあ』『ぬらりひょんの孫』など黒髪ロング美少女が重要人物になるホラー/サスペンスな作品において、すうっと流れる長い黒髪の描写は「怖いけれど美しい」「美しすぎて怖い」という、ひれふしたくなるような感動によくつながっている。
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そんな黒ロンの美を深く宿した『アトラク=ナクア』は、抱き合わせの一本ではもったいないという声をうけて、二〇〇〇年九月にめでたく単体のソフトとして再販売された。この世代のエロゲーマーは「初音」といわれると『痕』の初音ちゃんを連想する派と『アトラク=ナクア』の初音お姉さまを連想する派にわかれて血で血を洗う抗争を……いやいや。 以下余談。『アトラク=ナクア』の題名はクトゥルー神話の蜘蛛の神からとっているが、本編の内容とそれは直接には関係ない。説明書にはあくまで象徴としてつけたという旨が書いてある。ただ、日本国内のクトゥルー神話を扱った漫画、アニメ、ゲームでアトラク=ナクアを女性キャラクター化した作品には黒髪ロングの造形がしばしばみられる。『エンジェルフォイゾン』『怪物王女』『這い寄れ! ニャルアニ』など……。実際の影響関係はともかく、流れとしては『アトラク=ナクア』が先鞭をつけたかたちになっている。
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現代アニメに与えた影響まで語っている。この著者、何者?!
ファン的には当然かもしれませんが、浅いファンとしては眼から鱗の素晴らしい論考。まだ売ってるかしら。

CROSS+CHANNEL

あの『人類は衰退しました』の田中ロミオさんが作っている、という情報は知っていましたが、あの奈須きのこをして、「遠く及ばない圧倒的な名作」といわしめるとは。

俄然、やりたくなります。
が、妻の前じゃ、出来ないよなぁ。

二〇〇三年九月、『CROSS†CHANNEL』(フライングシャイン)が発売。ある種の精神疾患が若者のあいだに蔓延している日本を舞台に、社会不適応とみなされた少年少女を集めて隔離した学園で放送部をやっている八人が、彼らだけを残して人類が消失した平行世界に迷い込み、同じ一週間を何度もループするという異常現象に陥る。亀裂の入った人間関係で何度も衝突と暴力と死に満ちた悲劇を繰り返す彼らだったが、主人公の尽力で和解。やがて主人公は事態を打開するため、ひとつの決意をする……という凄絶な青春SF物語を描いたAVGである。
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でも、時間を作ってでもやりたい作品。
どうにかして、出来る環境を用意しなくては。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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