『ネトラセラレ』 性(さが)と狂気と愛の営みと……

成人漫画で久々に心を動かされました。
正直、おかず目的で買ったものの全く抜けませんでしたが……。

今日、妻が他の男に抱かれます。

歪んだ夫婦愛が暴走していく泥沼化必至の不道徳NTRドラマ第1巻! !
結婚2年目の伊澄秀次郎と春花は、羨むような理想的な夫婦生活を送っていた。
二人は幸せそうに見え、確かに愛し合っていた。
だがある日、秀次郎は溜め込んでいた真っ黒な欲望を春花に向かって吐き出す。「他の男と寝て欲しいんだ。」

寝取られる妻にしか興奮しない人間は変態なんだろうか?

変態男性の性癖に振り回されるうちに才能が目覚めてしまう、という手の話では『月光の囁き』がありますな。
あれもあれで名作ですが、あれに迫る、勝るとも劣らない、素晴らしい作品でした。

正直、萎え萎えでしたが、読書は止まらないのなんの。

まずね、男が徹底的に真面目に変態、っていうのがいいですね。
フザケてないんですよ、そこがいい。

『月光の囁き』もそうでしたけど、書く方に照れがあると、ああいう演出にはならんでしょう。
作者のプライドと徹底した信念を読み取ることが出来てとても満足です。

同じ変態で、同じような性癖をもつ『ネトラセラレ』と『月光の囁き』の変態男性主人公ですが、微妙に違うのも面白いですな。
『ネトラセラレ』ではパートナーに「もっと恥じらったほうがいい」とめちゃくちゃな要求をするのに対し、『月光の囁き』では徹底的にサディストの女王様に仕立てあげようとする。

結果、女性主人公は、パートナー(男性)の苦痛にゆがむ顔や泣き崩れる顔がたまらなく快楽になっていき、という展開は同じなんですが、わがままな男側の目指す地点が違っていても同じような結果になるというのは面白いですね。

また、『月光の囁き』が緻密な、細かい、ちょっとした変化に重きを置いていて、より男性側の狂気を照らしていたように思います。
一方で『ネトラセラレ』のほうが展開のダイナミックさは勝ちでしょう。

まさか元カレそして同僚、さらには肉親にまでその愛の営みのための糧にされるとは。
ちょっと考えただけでゾッとします。

自分にその性癖がなくて本当に良かったと思わざるを得ません。
面白いかどうかはおいておいても、間違いなく2016年でもトップクラスの問題作。
刮目して読んで損はありません。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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