『昭和史 1926-1945』 大きい昭和はここから学べる

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政治的思想の相違は別にしても、わかりやすい名著であることは間違いないでしょう。

授業形式の語り下ろしで「わかりやすい通史」として絶賛を博し、毎日出版文化賞特別賞を受賞したシリーズ、待望のライブラリー版。過ちを繰り返さない日本へ、今こそ読み直す一べき1冊。
巻末に講演録『ノモンハン事件から学ぶもの』(28ページ)を増補。

相変わらずの「天皇に責任はない」論ですが、そこを外せば大概は納得できるものでした。やっぱりネタがネタだけあってアマゾンレビューは荒れていましたがね。仕方がない。

明治が良くて昭和が駄目、とりわけ軍部・政治家が駄目。
ちょっとそこに結論を置き過ぎなような気もしますが、これは報告書ではなくあくまで授業。よって良しとしましょう。良しと出来ない人間には辛いでしょうな。

満州を、支那本部政権より分離独立せる一政権とする。そのようになるように逐次、わが国としては誘導する」 と決めるのです。すなわち、日本が無理やりつくらせたのでは国際条約違反になってしまう。ゆえに直接には手は出さない。けれどもうまく誘導して、中国人自身が自分たちの独立国をつくるというふうに指導する、これなら文句はあるまい、という方針です。これが一月上旬のことでした。 こうして、大元帥の命令にも、国策である不拡大方針にも違反して勝手に満州事変を起こし戦闘を拡げたとんでもない奴ら、軍法会議にかければ死刑に値する面々は、ここでセーフになってしまったんです。罪ではなくなったどころか「よくやった」ということに。 そして一月八日、あれほど大戦争を心配していた昭和天皇までが、「関東軍はよくやった」という内容の勅語を発します。満州事変の起こりとなった柳条湖事件は自衛戦争である、チチハルや錦州の占領も「皇軍の威武を中外に宣揚したものである」と、おほめの言葉のある勅語でした。 これは、昭和天皇のされた一番の大ミスじゃないかと思うんですね。
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まさに終わりの始まり。
なるほど当時としちゃ柳条湖については前哨戦というか、今後続いていく大きな戦の前触れに過ぎなかったのかもしれませんが、このあたりでしっかり軍部の手綱を締めて置けなかったことが終わりにつながっていく、ということでしょうね。

この五・一五事件が結果的に何を意味するかと言いますと、犬養さんの政友会はここでぶっ潰されて、その後、斎藤実という海軍大将が総理大臣になります。犬養内閣は閣僚も政友会で固めたいわゆる「政党内閣*6」で、日本は明治三十一年(一八九八)の第一次大隈重信内閣以来、そういう政党内閣できたのですが、五・一五事件で政党政治は完全に息の根を止められてしまいます。斎藤内閣は「挙国一致内閣」といいまして、もう政党などにかまっておられず、国のためを思う人たちを集めて内閣を組織しました。これ以後もそうなります。つまり五・一五事件の結果として、日本の政党内閣は息の根を止められた。さらに、軍人の暴力が政治や言論の上に君臨しはじめる、一種の「恐怖時代」がここに明瞭にはじまるのです。
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今まで正直、五・一五と二・二六を混同してしまっていたような気がします。これを読んでもう間違えない。五・一五は軍部暴走の初期、二・二・二六は軍部暴走の終わりの始まり。

犬養首相を殺してもお咎めが少なかったのが五・一五。
高橋是清等の現職の大臣を殺してカンカンに叱られたのが二・二六。なお4代目小さんが参加したのもこっち。

斎藤議員は、 「ただいたずらに聖戦の美名に隠れて国民的犠牲を閑却し、いわく国際正義、いわく道義外交、いわく共存共栄、いわく世界平和、かくのごとき雲をつかむような文字を並べ……」 こう頭から内閣の政策を批判したうえで、陸軍に詰め寄ります。 「支那事変がはじまってからすでに二年半になるが、十万の英霊を出しても解決していない。どう戦争解決するのか処理案を示せ」 陸軍は「聖戦の目的を批判した」と怒って逆に斎藤議員を追い詰めましたが、斎藤議員が、 「私は議員を辞任しない、文句があるなら除名せよ」 と啖呵をきると、陸軍は本当に斎藤議員を除名してしまいました。その横暴さはそれほどにひどくなっていたのです。これが議会の「最後の抵抗」だったのではないでしょうか。つまり政党が有効性を失った、象徴的な出来事だったと思います。
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立派な議員さんもいたんだね。
軍部にも、とりわけ陸軍にも、立派な人は居た。それが戦後に生きる我々の歴史悲観主義から来るものなのでしょうか。

まとめ

昭和史についてはどうまとめたって批判は免れないものの、この本は政治信条を除いて、なるほどお勧めされるに値する一冊だなと思いました。

難しいかもしれないけど受験生には読んでおいて欲しい、学生のときには読んでおきたかった一冊でもあります。

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都内在住のおじさん。 2児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』
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