パトリシア・コーンウェル著『検死官』感想 断じてミステリとは認めん

あたくしはこれをミステリとは認めない。

襲われた女性たちは皆、残虐な姿で辱められ、締め殺されていた。バージニア州都リッチモンドに荒れ狂った連続殺人に、全市が震え上がっていた。犯人検挙どころか、警察は振回されっ放しなのだ。最新の技術を駆使して捜査に加わっている美人検屍官ケイにも魔の手が――。MWA処女作大賞受賞の傑作長編。1992年週刊文春ミステリーベスト10(海外部門)第1位。(講談社文庫)

MWA処女作大賞受賞の本格長編ミステリーリッチモンドを震え上がらせた連続強姦殺人事件に敢然と立向かう女性検屍官ケイ・スカーペッタの前に思わぬ障害が! 最新の技術を駆使して迫真の推理が展開する

イタリア人の知人が大好き、というので初読。

絶対、ビルが犯人だと思った。いや、これについては裏切られて良い。裏切られたほうが良いんだが、とはいえ、真犯人がそいつじゃあ、どうにも浮かばれぬ。
ノックスを持ち出すまでもなく、ミステリとしては成立していないでしょう。

ただ、文章は面白い。物語としては満足であります。

p191
何もかもうまくいかないとき、私は料理をする。
気の滅入るような一日を過ごしたあとは、しゃにむにテニスをしたり、フィットネスクラブで関節がガタガタになるまで体を動かしたりする人がいる。コラル・ゲーブルズに住む私の友達は、折りたたみ椅子を手に海岸へ脱出して、ストレスが燃え尽きるまで太陽を浴び、ちょっとポルノがかったロマンス小説を読むことにしているという。職場では絶対にそんな本を読んでいるところを人に見られるわけにはいかない。彼女は地方裁判所の判事なのだ。また、知り合いの警察官の多くは、警察友愛会のバーでビールを飲んでウサを晴らす。
私は昔から運動はあまり好きではないし、車でちょっと行けるようなところには、手軽な海岸がない酒を飲んで酔っ払うことで何かが解決した例もない。料理することは私にとって贅沢だった。ふだんはそのためにゆっくり時間を取ることなど出来ないからだ。好きなのはイタリア料理だけではないが、昔からそれが私の最も得意とするところだった。

こんな文章。いいよね。共感できる。

By 写楽斎ジョニー

都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です