今読むとまた違う印象。
「こんなにおもしろい本があったのか!」と小学生からお年寄りまでを笑いの渦に巻き込んだ爆笑エッセイの金字塔!! 著者が日常で体験した出来事に父ヒロシや母・姉など、いまやお馴染みの家族も登場し、愉快で楽しい笑いが満載の一冊です。「巻末お楽しみ対談」ではもう一度、全身が笑いのツボと化します。描き下ろしカラーイラストつき。
この面白さ、干支が2週くらいしたあたりから分かるんじゃないかな。
発売は91年なので、あたくしは小学校低学年。そりゃ、当時読んだって分かりっこない。
位置: 457
祖父 が死んだのは私が高二の時である。
祖父は全くろくでもないジジィであった。ズルくてイジワルで怠け者で、嫁イビリはするし、母も私も姉も 散々 な目に遭った。
多分ほとんどの読者はびっくりしたはず。だってアニメのトモゾウはとても愛し愛されたおじいちゃんだったから。
位置: 494
ジィさんは、死ぬ数年前からボケていたのだが、そのボケ方がどうも怪しい。知らんふりして私の貯金箱から金を盗んだり、 風呂 をのぞこうとしたり、好物のおかずが出たりすると一度食べたにもかかわらず、「食べてない」とトボケて食べようとしたりするのだ。
笑えないやつ。
位置: 1,147
あの小便男のくだらなさに比べれば、私達の別れ話のくだらなさなんて、彼の 屁 にも及ばないではないか、という理由だったかどうかは忘れたが、とりあえず私達は別れずに結婚に至った。
そういう現実を矮小化できるようなスイッチをいくつか持っておくと、人生が楽に思えますよね。結婚にいたったことが良かったのかどうかは別問題だとしても。
位置: 1,596
「ちびまる子ちゃん」という漫画はエッセイ漫画と言われているが、全てが事実であるわけではない。
当たり前の事実だけど、改めて言われるとぎょっとする。でも、そりゃそうだよね。
位置: 2,004
私、ある時聞いたことがあるんです。「お父さんね、あれだけお母さんにメチャクチャ言われて腹立たないの?」って。そしたら、こう言ったんです。「おかあがああやって文句を言っているうちは元気な証拠だから……」って、それだけなんです。その時、(ああ、ヒロシっていいな)って。私が離婚する時だって、「いろいろ、ごめんね」って言ったら、「ああ、別にいいよ。お前が考えたことで、俺が何か言うことじゃないから。お前の気持ちはすごくわかっていたから」って。思わずジーンとしちゃいました。
アニメではどことなく頼りない父親像のヒロシ。ただ、現実ではそれくらい「顔で笑って腹で泣く」寅次郎のような男だったわけだ。
この距離感は、なかなか出せないよね。妻が怒り狂ったりしているのをみて「元気な証拠」と言い切れる、その距離感よ。見習いたいね。