東野圭吾著『仮面山荘殺人事件』感想 追悼

亡くなられましたね。本当にすごい人だった。
21世紀を代表するエンタメ作家、といっても間違いないでしょう。

個人的にそこまで好きな作品があるわけじゃないし、『白夜行』は読んだけどそこまで、、、、ってね。あ、でも『容疑者X』はすごかった。あれは本当にすごい作品。

しばらく、立て続けに読んでみようかな、と思います。あたくしなりの追悼。

叙述トリック

まずは何と言ってもこれ。あたくしの大好物です。
アクロイド系ではあるのですが、アクロイド亜種とでもいうべき。んで「オリエント急行でした」ってんだから、罪な作品です。

とはいえ、純粋に叙述のレベルでいうなら、、、、うーん、イマイチ。
折原氏も解説で述べています。

p288

私は『仮面山荘殺人事件』は嫌いだが、この『仮面山荘殺人事件』を東野作品の中で三本指に入る傑作だと思っている。

これは言いえて妙かなー。

設定は良いんです。

山荘に集められた男女8人。そこへ突然、強盗がやってくる。しかも外は雪。電話も使えない。そのうえ、山荘の中で殺人が起きる。もうね、ミステリとしては「どうぞ好きにやってください」という舞台が整っている。

で、実際に読んでみると、かなり読みやすい。ページ数もそれほど多くないし、登場人物も多すぎない。東野圭吾の読ませる力でグイグイ引っ張られる。難しいことを延々考えさせるというより「じゃあ次はどうなるの?」と、ページをめくらせる。これが実に巧妙。

ただ、この作品で面白いのは、単純に「犯人は誰だ?」だけじゃないところ。登場人物それぞれに事情があって、誰もがちょっと怪しい。仲良しグループが山荘に集まってワイワイ、という話じゃない。それぞれに過去があって、秘密があって、それを死亡した朋美を中心軸にして物語が回転し始めます。

だから殺人が起きたあとも、「この人、何か隠してない?」となる。こっちとしても「あれじゃないか?」「いや、こっちか?」「いやいや、そんな単純なわけないだろ」とか、色々考えて。まあ、だいたい外れるんですけどね。そしてその後訪れる「そういうことだったのね」のために、ミステリを読んでいるようなところがあります。

ただ、個人的には、トリックそのもの以上に、読者に何を伝えないかのほうが面白かった。

同じ出来事でも、いつどのように説明されるかで意味が変わってきます。後出しミステリとでも呼びたいですね。読者に嘘をつく、というと言い過ぎだけど、あえて言わないことがある。真相が明らかになる。「?」と読者が思う。で、あとから読み返すと、「あえて伝えていない」ということが分かる。ここがうまい作品は強い。

東野圭吾の作品としては、後年の作品に比べるとシンプルな感じもするけど、そのぶん勢いがある。

あれこれ考えすぎず、「次はどうなるんだ?」で読み進められる。こういうミステリ、好きです。

投稿者 写楽斎ジョニー

都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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