小野不由美著『魔性の子』(十二国記0)感想 ただ不穏

好きなシリーズではありますが、本作はあまりに不穏なだけでしたね。

どこにも、僕のいる場所はない──教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気に掛かる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐(いじ)めた者が不慮の事故に遭うため、「高里は祟(たた)る」と恐れられていたが、彼を取り巻く謎は、“神隠し”を体験したことに関わっているのか。広瀬が庇おうとするなか、更なる惨劇が……。心に潜む暗部が繙(ひもと)かれる、「十二国記」戦慄の序章。

ただひたすら不穏な話。

胎果になるとこんな不穏だよ、ということをただ述べている作品って感じ。人間の想像を超えた現象に対する無力感をただ味わいました。

本作だけを読む人っているのかな。「十二国記0」って書いてあるくらいだから、本作から読む人もいるだろうね。どういう感想だろう。「なんだかやたら暗い話だな……」ってならないかな。余計な心配かもしれませんが。

p328

「俺は多分、お前に平穏な生活を送ってもらいたいんだと思う。恵まれた人生を歩いてもらいたい。だが、何が恵まれた人生なのかは本人が決めることだよな」
広瀬は強いて微笑ってみせた。
「少し残念なのは、お前が自分の望みのためにそれを捨てるんじゃなくて、捨てざるを得ないから望みのために歩いていこうとしていることかな」

この教師の言葉、何となく好きなんだよな。諦観も含めた、なんとも大人な味。
生きていると結構、こういうこと、あるよね。

最後までなんでこんな目にあっているかを説明されることなく、ただ高里は十二国の世界へ行き、広瀬は残される。無慈悲なラストを迎えるんですよね。結構長い話だし、モヤモヤを抱えたまま読了する人も多いんじゃないかな。

投稿者 写楽斎ジョニー

都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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