女性への幻想に塗れた作品
はっきり言って、同意しかねる作品でした。
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あたくしも大好きな『惡の華』で押見修造先生がおっしゃっていました。
「この作品を書くにあたって、参考にしたのは『月光の囁き』と『いぬ』だ」と。
『月光の囁き』は喜国雅彦氏の大傑作でありまして、『惡の華』もそれに迫る勢いの作品です。
そうなると、この『いぬ』ってそんなに面白かったっけ?と首をもたげます。
この作者の、『鬼虫』とか『地平線でダンス』とかってそこまで、あたくしは心にゃ来なかったけどね。
卑猥だけど抜けはしない
物語はですね、股間にバターを塗って犬になめさせてまで己の性欲に溺れる清楚系ビッチさんに恋をした、童貞メガネ男子の奮闘記なんですけれどね。
この男側の表現が、あんまり童貞臭さがなくて、嫌になっちゃうんですな。
童貞長かったあたくしには分かります。あいつ、童貞ぽくないす。
「女性が思う童貞」の域を出てないす。
女流作家が書くこの手の本って、やっぱ抜けないんですよね(何言ってんだ)。
それは、やっぱりエロについて、根本的に共感しえていないからでしょう。
あたくしの目はごまかせません。
さては作者、童貞の研究を怠りましたね。
とはいえ、最後まで一気に読ませる力がある
何だかんだ言って、でも、一気に読みました。
それなりに卑猥なものって面白いんですよね、卑猥ってだけで。
ただ、『惡の華』や『月光の囁き』のレベルではないです。
この漫画のフェチズムというか偏執的な愛って、あたくしには全然リアルじゃない。
必死さが伝わってきません。
残念でした。