『姑獲鳥の夏』感想③ #京極夏彦

ブラックジャックを思い出した人は少なくないはず。

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彼は、一匹の精虫が卵子に辿り着く確率を百パーセントにまで高めたかったんだ。つまり彼は机上のシャーレや試験管の中で、摂取した卵子と精子を人工的に受精させる技術を開発していたのさ」 「そんな! それでは──内藤君じゃないが、まさに現代のホムンクルスじゃないか!」

よく知らないけど、それって現代では普通に出来るんじゃなかったかしら。お金は相当かかるだろうけど。出版は1994年。舞台は戦後間もなく。

位置: 2,885
「久遠寺家は──この無頭児が誕生する確率が非常に高い家系──家系といういい方が正しいかどうか解りませんが──だったのです。原因は判りません。ただこれは祟りや呪いの所為などではない。これは医学上の問題です。病気や怪我と同じレヴェルのものです。恥じるべきことでも、隠すべきことでもない。しかしこの国の土壌はそうはさせてくれなかった。無頭児に限らず、先天的に異常を持って産まれて来る子供達は── 悉皆 まとも な扱いを受けなかった。悲しい事実です。そしてそれは、今もそう変わるものではない」

小学生の時分に読んでトラウマの如きものを覚えた人は少なくないでしょう。まさかこれが、改めて読書によって蘇ってくるとは。

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二重人格というのは人格が二つあるという意味ではありません。それは、それらがひとつの人格であると認識されない、或いは認識出来ない程 乖離 してしまっている状態のことをいうのです。一人の人間には人格がひとつしかないと思うことこそ、脳の まやかし なのです。

最後は砂の器的なションボリエンド。我々の過去の歪さを突きつけられて、沈黙するしかないやつ。

余談ですが、最近あたくし、酔うと記憶がなくなるのは別人格なのでは……と思い出してます。きっちりお金は払ったりしているのに、まるで記憶なし。困った。

姑獲鳥の夏、ひたすら怖く、エロくてグロくて、登場人物は魅力的でした。文章にも力があるし。なるほど、素晴らしい。

ただミステリとトリックの強引さだけは、ちょっと気になったかな。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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