そもそも三国志演義に出てくる人は一騎当千多すぎなんですが。
位置: 5,516
「呂布のごとき武勇は、何百年にひとり出るか出ないかといってもよい人中の鬼神だ。おそらく尋常に戦っては、天下に当る者はあるまい。位置: 5,527
ただ陣中は混乱をきわめ、 阿鼻叫喚、 奔馬 狼 兵、ただ 濛々 の悽気が渦まくばかりであった。位置: 5,584
「束 になって来い」 と呂布はまだ 嘲笑う余裕さえあった。関羽、張飛、玄徳の三名を物ともせず、右に当り左に 薙ぎ、位置: 7,912
好漢惜しむらくは思慮が足らない。また、道徳に欠けるところが多い。──天はこの稀世の勇猛児の末路を、そも、 何処 に運ぼうとするのであろうか。
その強さたるや。圧巻を通り越して驚愕でしょう。
あまりに強くて説得力を失うくらい。貂蝉に弱いところは可愛くはあるけど、美女と野獣的な。一騎当千どころじゃない。当万といって差し障りない。そこのあたりも「演義だなー」と思わせるところ。ただ、
位置: 7,829
「あ……あっ。では……?」 呂布もついに 覚った。貂蟬の真の目的が何にあったかを知った。 彼は、貂蟬の死体を抱えて、いきなり馳け出すと、後園の古井戸へ投げこんでしまった。それきり貂蟬のことはもう考えなかった。天下の権を握れば、貂蟬ぐらいな美人はほかにもあるものと思い直した 容子 だった。
こういう展開もあるのがいいよね。損切りが出来るというのは頭が切れる証拠。呂布という武将が古今東西愛される理由が、なんとなく分かりました。極端なんだね。
位置: 6,158
破壊は一挙にそれをなしても、文化の建設は一朝にしては成らない。
また。
破壊までの目標へは、 狼煙 一つで、結束もし、 勇往邁進 もするが、さて次の建設の段階にすすむと、必ずや人心の分裂が起る。
初めの同志は、同志ではなくなってくる。個々の個性へ返る。意見の衝突やら 紛乱 が始まる。熱意の冷却が分解作用を呼ぶ。そして第二の段階へ、事態は目に見えぬまに推移してゆくのである。
この人間模様ね。実に簡潔。吉川英治にしろ藤沢周平にしろ、このあたりに本当に感服する。日本語が上手というのはこういうことなんだろう。
位置: 9,093
「前門には虎、後門には狼。両賊は 朕 の身を 賭物 として、 爪牙 を 研ぎあっている。出ずるも修羅、止まるも地獄、朕はそもそも、いずこに身を置いていいのか」と、 慟哭 された。
慟哭すらもリズミカル。
位置: 9,734
─しかるに、この人は」と、曹操は見とれたのである。 眉目は清秀で、唇は 丹 く、皮膚は 白皙 でありながら 萎びた日陰の美しさではない。どこやらに 清雅 縹渺 として、心根のすずやかなものが 香 うのである。
いい女の描写もリズミカル。
位置: 11,113
「この 老 猪 め、なにをいうか。良民の 膏血 をなめ喰って脂ぶとりとなっている 惰眠 の賊を、 栄耀 の巣窟から追い出しにきた我が軍勢である。──眼をさまして、 疾く古城を献じてしまえ」
啖呵もリズミカル。
いいよねー吉川三国志。うっとりする。
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