優子見参!『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』 2

麗奈は正しいが魅力出来でなく、サファイア川島は正しくて魅力的。

  • 12 アンサンブルコンテスト

位置: 1,792
「久美子ちゃんはこれから部長さんとして頑張っていくんやろ? やったらね、謝る言葉の使いどころはちゃんと考えたほうがいいって緑は思うねん。だって、部長に謝られたら、後輩は恐縮しちゃうやろ?」
「そうかなぁ」
「少なくとも、緑はありがとうって言われたほうがうれしい!」

このサファイア川島の正しさ。
ひたすらに正しく、格好いい。求が弟子入りするのもわかる。これで楽器が上手いんだからね。

位置: 2,613
「私、下手やし。いままでずっと自分がBなんは当たり前やと思ってたんやけど、でも……でも、順菜ちゃんみたいに、自分もAで出たいって思ってええんかな」
「ダメって言う人なんていないよ」
「そうかな」
「そうだよ」
顔を背けるように、つばめは再び前を向いた。滑らかに回り出した車輪が、楽器を前へ前へと運ぶ。自身の顔をぐしぐしと袖で拭い、つばめは何事もなかったかのように歩き出した。そのしっかりとした足取りを目で追いながら、久美子はマリンバに手を添えた。久美子が押さなくとも、車輪は回り続けていた。

最後の一文。こういう心情をモノに語らせるの、武田先生の主義なんですかね。かっこいいですけど。

  • 13 飛び立つ君の背を見上げる(D.C.)

D.C.というのはワシントンではなくて、「曲の最初に戻る」という意味の演奏記号なんだとさ。ループっちゅうことでしょうか。

位置: 2,798
「優子、いままでありがとう」
もう駄目だった。真ん丸な目の奥から、次から次へと涙があふれる。流れるしずくを手の甲で拭い、それでも足りず、優子はセーラー服越しに両目を腕に押しつけた。
友人の異変に気づいたのか、みぞれがあたふたと慌てている。
「優子、どうしたの? 私、ダメなこと言った?」
「ちがう、全然。ダメじゃない。ただ、みぞれがそんなこと言ってくれるんがうれしくて」
「ほんと?」
「うん、ほんと。こっちこそ、」

位置: 2,808
「こっちこそ、いままでありがとう。みんなが辞めたときに、 吹部 に残ってくれてありがとう。オーボエを続けてくれてありがとう。一緒に頑張ってくれて、ほんまありがとう」
絞り出した台詞に、みぞれは不服そうに唇をとがらせた。
「……優子のほうが、ありがとうが 上手」
「何それ」
思わず笑ってしまった優子とは対照的に、みぞれは至って真面目な顔をしている。
「私がありがとうって伝えたかったのに。優子に負けた」
「こういうのに勝ち負けとかあるん?」
「わかんない」
「わからんのかい」

この二人、6年間一緒なんですよね。
すでに母子関係になりつつあるこの二人。6年間でみぞれは半端なく上手になり、しかし人の心を読むのは本当に苦手。優子がそのへんを常にフォローしてきた。

「あんたにとって私はなんなん!」のあのセリフ、格好良かったもんな。優子を見直したもの。

位置: 2,827
いつもどおりのやり取りを始めた二人を置いて、希美とみぞれが歩き始める。優子と夏紀は互いに顔を突き合わせながら、その後ろをついていく。四人が集まる、いつもの朝の光景だ。今日で最後の、いつもの光景。

自分にも卒業式ってあったはずなんだけど、全然記憶にないんですよね。不安のほうが大きかったのか、あんまり楽しい記憶がない。

位置: 2,831
きっと、みぞれはこれから優子の知らない世界を知るのだ。
手を伸ばし、優子はそっとその背を押す。優子がそんなことをしなくとも、みぞれは勝手に前へと進んでいく。そんなことはわかっていた。だからこれは、優子の最後のわがままだ。
「何?」
みぞれが振り返る。朝の日差しがまぶしくて、優子は目を細めた。
「なんでもない」

母親かよ。そして、優子→夏紀への手紙になります。

位置: 2,838
関西大会のあと、一緒に帰ったこと覚えとる? アンタさ、わざわざ遠回りしてうちについてきてさ。余計なお世話やとか言っちゃったけど、ほんまはうれしかったよ。ありがたかった。どっか行けって言って、それでもそばにいてくれるやつがおるってのは感謝すべきことやなとずっと思ってました。言葉で伝えられんかったけどね。アンタすぐ茶化すし、お礼とか言わせてくれんから。

吉川優子、すごいいい子。小笠原晴香も良かったし、あたくしはどちらかといえば晴香タイプだけど、だからこそ、優子すごいいい子。読み返すだけで泣きそう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする