『洞窟オジさん』感想1 憧れないけど尊敬する

もうあたくしも37ですから。憧れはしない。

タイトルがいいよね、まず。

そして内容。こんなに鮮明に覚えているか?という気もするけど、とてもいい。適度に不倫理的になのもまたよし。うまく天然でいられている気がします。

位置: 67
ひとつだけおれが納得いかなかったのは、うちでそんな目に遭っていたのはきょうだいでおれだけだったということだ。悪さといってもおれの場合は、だいたいつまみ食い。盗みをするわけでも下の弟をいじめるわけでもなかった。親父とお袋に子供が8人と、食いぶちだけは多いのに、貧しくてろくに食べ物さえ買えない家だった。だからいつも腹をすかしては親の目を盗んで、台所にある食べ物をつまみ食いしていた。

なにかあったんでしょうね。凡百の小説だったらこれが後年になって真相がわかり、「あぁ、俺も愛されていた」みたいになって泣く所ですが、そこはそれ。ちゃんと最後までわかりません。

位置: 102
着るものは普段着も学校の制服も兄たちのお下がりだった。しかも、おれに回って来るときはもう3人の兄たちが着ていたから、どれもこれも全部ボロボロ。靴も 擦り切れたものばかり履いていた。風呂だって週に1回だ。外にある釜のような風呂に薪をくべて湯を沸かす。いわゆる五右衛門風呂……。

あたくしは毎日風呂に入ることが当たり前の世代ですから、週1の風呂ってあんまりわかんないんですよね。途中で臭く感じたりしないかしら。

位置: 105
いくら戦後間もない頃とはいえ、さすがにうちくらい貧しい家はなかなかなくて、小学校では「臭い」だの「汚い」だのといじめられていた。でも、おれは負けなかった。馬鹿にされることが悔しくて、いつも棒切れを持って、殴りかかっていった。たいてい向こうは5~6人。ろくなものを食べていない上に体が小さかったおれに勝ち目はない。

戦うっていう選択肢、結構当たり前のようで難しいですよね。あたくしならふさぎ込んじゃうかなぁ。

位置: 118
山にも川にも、食べ物はたっぷりとある。山にはアケビや山柿、栗、川には魚がいる。いつだっておれの腹を満たしてくれる。そこではいじめられることもなければ、仲間はずれにされることもなかった。山も川もおれの友達だった。

対人のコミュニケーションが苦手なだけで、別にそれならそれでいいような気がしますね。好意的。

位置: 136
家を飛び出して以来、1度も連絡をとったこともないし、もう両親も亡くなっているから、きょうだい8人の中でなぜおれだけが木の棒で叩かれ、墓石に縛り付けられ、食べ物もろくに与えられなかったのか、その理由はわからない。知りたい気持ちもあるけど、今となってはもうどうでもいいことだ。
毎朝、小学校まで 15 分ほどの道のりを歩いて通った。きょうだいは全員同じ小学校だった。でも、一緒だと汚くて恥ずかしいからと、おれと登校するのを嫌がった。だから、おれはいつもきょうだいからひとりだけ離れて歩いていた。
きょうだいからは避けられ、学校に行っても勉強はつまらないし、友達もいない。馬鹿にされてけんかばかり。家族も学校もおもしろくないから、学校に行く途中の川に下りて、夕方までひとりで遊んでいた。

きょうだいからも避けられるのって、なんかあったんでしょうね。詳しくは書かれていないから憶測でしかありませんが。何かしらの理由がなきゃ疎まないよ、と思うアタクシは甘ちゃんかも。

位置: 176
そうだ、足尾銅山に行こう! この線路伝いにひたすら北へ北へと進めば足尾銅山につながっている。小学校の社会科で足尾銅山のことを習ってから、1度は行ってみたいと思っていた場所だ。それに足尾銅山はほとんど廃鉱となり、人の目も少ないという。足尾銅山まで行けば、きっと誰にも見つからないはずだ。

逆転の発想。誰にもみつからないために足尾銅山へ。

位置: 183
2番目の兄が、赤ちゃんだった秋田犬の雑種をどこかでもらってきたときから、おれがいちばんかわいがっていた。兄の犬だったけど、おれにいちばん 懐いていた。
賢い犬だったから、おれが戻らないことを心配して、においをたどって追いかけて来てくれたのか?
でもまさか、あんなに太いロープで犬小屋につながれていたのに……。ロープは噛み切ったんだろうか?
それも、1日遅れで?
そんなに速く走れるものなのか?
いや、間違いない、シロだ!
うれしかった。本当にうれしかった。死んでもいいと思って歩き続けてきたおれだけど、シロと一緒に人目につかない場所で暮らしたいと思うようになった。おれはシロを抱き寄せて「おれとおまえはいつも一緒だ」と言いながら、ボロボロと泣いた。

いいシーンですよ。ほんと、コミュニケーションが苦手なわけじゃなくて、対人が駄目なだけですね。

でもいいじゃない、それでも。山で生きていっても。
なんも駄目なことはない、と勝手ながら思いますね。

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