『恐怖の谷』感想 久々のシャーロック

前半と後半で全然別の話ですやん。

ホームズのもとに届いた暗号の手紙。時を同じくして起きた暗号どおりの殺人事件。サセックス州の小村にある古い館の主人が、散弾銃で顔を撃たれたというのだ。事件の背後には、宿敵モリアティ教授の影が垣間見える――捜査に当ったホームズが探り出したのは、20年前のアメリカに端を発する、恐怖の復讐劇だった。推理、冒険、恋、友情を描ききったホームズ・シリーズ最後の長編。

いわゆる死体取替トリックなんですがね。
顔を打たれた時点で「あれもしかして」とは思いました。
この手は結構、色んな所で使われているからかしら。いわゆるトリックの古典というやつなんでしょうね。

位置: 2,765
人間性というものくらい 妙 なものはない。ここに集まる連中は殺人なぞなれっこで、何度か一家の主人を殺してきた男たちだ。あるものは個人的にはなんの 恩 怨もないのに殺して、残されて泣く妻を見ても 後悔 もせず、よるべない子供たちを見ても一片 のあわれみを感じるでもない。それでいてやさしく感傷的な音楽には、 涙するほど心を動かされるのだ。

人間とはそういうもんよ。妙でも何でもない。
理性を高く評価しすぎ。

位置: 2,976
「たいしたこともないって? もうすこしこの土地にいてみたら、何もかもわかる。谷を見おろしてみたまえ。何百という 煙突 のはく 煙 でうす暗くなっている。だがそれよりも暗い殺人の雲が、この谷の人々の頭のうえには覆いかぶさっているのだ。ここは 恐怖 の谷──死の谷なのだ。 日暮れから朝まで、市民たちは恐れおののいている。まあ見ているがいい。いまに何もかもわかるだろう」

この後半の暗い雰囲気がなんとも言えず良い。

位置: 3,787
「どうだ、来たのか? バーディ・エドワーズはどこにいる?」マギンティがたまらなくなって口をきった。
「きた」マクマードはゆっくり答えた。「バーディ・エドワーズはここにいる。おれこそバーディ・エドワーズだ」
十秒ばかり、部屋のなかには人がいないかと思われるばかりの、ふかい 沈黙 があった。

かっこいい……、けど、もはやシャーロック関係ない。

位置: 3,955
これはドイルとしては最後に書いたホームズ 長編小説 The Valley of Fear の全訳である。作者はホームズ物語の長編を四つ書いているが、そのなかで『バスカヴィル家の犬』をのぞいて、三つまでが一部二部の形式をとっている。『四つの署名』は一部二部とことわってはいないけれど、内容的にはそういえるであろう。

これでホームズ長編お終いだなんて、ちょっとさみしいね。

ジェレミー・ブレットのホームズ、いいんですよねぇ。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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