植木屋の八五郎が、あるお宅の庭の松の木へ登りまして、ハサミを動かして仕事をしておりますと、白昼堂々お座敷の女中が若い男を連れ込んで盛んにナニを始めました。
八っつぁん、身体を乗り出してそれを拝んでいるうち、自分もカッカとしてまいりましてもう堪らない。松の木から滑るように降りると、自分の家へ飛ぶように帰ってまいりまして、
「よぉ、おっかぁ、今からしよう。すぐしよう」
「何だね、目の色を変えて……」
「あぁ、いまね、仕事先でナニがナニしてるのをみてね、居てもたっても居られねぇってんでね」
「何言ってるんだよ、あたしゃ昼間からじゃあ嫌だよ。そんなにシたけりゃ、岡へでもどこへでも行っておいで」
「えっ、行ってもいいのかい?」
「我慢できなきゃしようがないだろ。ほら、一分あれば足りるだろ?」
理解のあるおかみさんで、一分もらて八っつぁん、パーッと飛び出すと、隣の熊さんのかみさんが入り口に立っていまして
「おや、八っつぁん、血相変えて、どこへ?」
「あぁ、いやぁ、おらぁね、ちょいとタマらなくなって、かかぁにヤラせろって言ったらね、昼間じゃ嫌だから吉原でも行っておいでってなことになってね、これから行くんだ。」
「なあんだ、そんなことなら、わざわざ遠くまで足を運ぶことはないよ。あたしで間に合うなら、寄っておいで」
てんで、急遽隣でスルことになりました。たっぷりとシた後に
「そ、そいじゃ、ここに一分置いておくからよ」
てんで家に帰る。おかみさんが待ってて
「なんだい、お前さん、早かったね」
「あぁ、ちょうど都合よく隣の熊んところのおかみさんがいてネ、あたしで間に合うなら……てなことを言うからね、隣で済ませた。」
「呆れたねぇ、いくらなんでも、隣のおかみさんと……。で、さっきの一分はどうしたの?」
「置いてきた」
「え、なんだって、そんなもの要らないよ」
「だって、おめえ、いくらなんでもタダというわけにゃあ……」
「いいんだよ、だってあたしゃ、熊さんから金とったことはない——」
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