名女優のエッセイ。読みやすいんだよね。
ゴムに塩と砂糖をまぶしたような激しい味の「サルミアッキ」に驚愕、お互い言葉が通じないトラムの運転手さんの親切に涙、怪しいクラブ「地獄」に果敢に挑戦、フィンランドのおふくろの味に舌鼓……。旅好きな俳優が、映画の撮影で滞在したフィンランドの日々をユーモアと愛情たっぷりに綴る、人情味溢れる旅の話。笑えてジンとくる、名エッセイ。
役柄や顔貌からにじみ出る人柄が、エッセイでも大体同じイメージで出ていて、安心。たまに役柄と全然違う人も居ますからね。
とにかく、わたしの頭の中はいつも、次に食べるもののことでいっぱいである。
そういう人のことをつい信頼できると思ってしまう自分がいます。
位置: 128
あまりに得体の知れないものに出会うと、喜びすら 湧きあがる。狭く思えた地球が果てしなく広く感じられる。この世にはまだわたしが知らない味がある! そう思ったら、なにやら胸がときめいた。
あたくしもこのタイプなので、非常に共感します。
が、世の中には味について本当に保守的な人もいるのが事実。確かに、知ってるものだけ食べていればいいっちゃいいけどさぁ。。。
位置: 238
よその国で野菜や果物を食べると、野生の味がする。このいちごだって畑の出身というよりは、野や山の出のようだ。日本で感じるおいしさとは、一味も二味もちがう。これが本来の野菜や果物の味なのよ、と言う人もいるが、どうなのだろう。ほんとだろうと嘘だろうと、わたしはどちらの味も大好きだ。
この立ち位置ね。「どちらも大好きだ」というのがとてもフラットで好感。美味しんぼかぶれとしてはつい「本当の野菜の味」などという思想や言葉に惑わされてしまう。かつてはそうだった。ただ、今ははいり女史の気持ち、すごくよく分かる。
位置: 370
フランス大統領が、ドイツ首相とロシア大統領と会談した時、イギリスのことを、 「あんなまずいものを食べている国民は信用できない。ヨーロッパで英国よりまずいものを食べているのは、フィンランドくらいだ」 と言ったとか言わないとか。
言いそうなジョーク。イメージ先行の名誉毀損である。
位置: 468
お料理のお礼を伝えた時の、あの幸せな笑顔はけして忘れない。まるで、炊き上がったばかりのお釜をあけた時みたいに、もわあと幸せな湯気が上がり、あらわれた笑顔は白くつやつやと輝いていた。 炊きたてのごはんみたいな笑顔の人たちが作る料理がまずいはずはない。
例えが秀逸すぎて、コメントしづらい。
炊きたてご飯に例えられたら、そりゃもうまずい筈がない。けど、炊きたてご飯を人の顔に使うのはずるいよ。
位置: 494
わたしが滞在したアパートメントホテルの部屋は、西にベッドルーム、東にダイニングキッチンがあって、どちらにも大きな窓があった。だから、朝に夕に違う顔の太陽の光を堪能することができた。特に、白夜の夕暮れにずいずいと部屋の奥まで入り込んでくる陽の光は、ほんとうにたまらなかった。わたしはつい出かけるのをあとまわしにして、日本では味わうことができない奇跡の時間を楽しんだ。
いい時間の過ごし方。本物の贅沢だな、という気持ちになる。
位置: 565
わたしの毎日にはけしてない、輝くひととき。
カンボジアの朝日。
ヘルシンキの夕暮れ。
カンボジアの朝日はみたことがある。
次はヘルシンキの夕暮れか。
位置: 1,187
最も輝く季節しか知らないわたしには、太陽の昇らない冬のことなど想像もできない。フィンランドの冬でつらいのは、厳しい寒さよりむしろ、その暗さなのだそうだ。わたしはまたひとつ、フィンランドの魂にふれた気がして、今度こそこう確信した。
やっぱり雨も悪くない。
だから夏の間にやたらと外に出て、味わっておくんだね。
最高の北欧プロモーションですね。
