今のところ、シリーズで一番エモいと思う。
国が欲しいか。ならば一国をやる。延王尚隆と延麒六太が誓約を交わし、雁国に新王が即位して二十年。先王の圧政で荒廃した国は平穏を取り戻しつつある。そんな折、尚隆の政策に異を唱える者が、六太を拉致し謀反を起こす。望みは国家の平和か玉座の簒奪か──二人の男の理想は、はたしてどちらが民を安寧に導くのか。そして、血の穢れを忌み嫌う麒麟を巻き込んだ争乱の行方は。
何と言っても雁王・小松尚隆と麒麟・六太の関係が最高に面白い。
ちなみに小松尚隆、実在はしないっぽいですね。歴史資料には存在しないそう。ただ、描かれ方が妙にリアルでね。小野先生の筆の力でしょうか。
どうでもいいけど、「昼行灯な王様、博打場で捕まりがち」なのは何だろうね。大石内蔵助のムーブなのかな。
p73
本当のことだろう。民は王などいなくても立ち行く。民がいなければ立ち行かないのは王の方だ。民が額に汗して収穫したものを掠め取って王はそれで食っている。その代わりに民が一人一人では出来ないことをやってやる。
こう思える為政者ならもう50点あげてもいい。今じゃ口でこういう人はたくさんいますけどね。
本著の内容自体はかなりエモく、似非叙述トリック的な面白さもあり、十二国記シリーズでは一番好きかな。前後半の斡由の描かれ方の違いに悪意に似たものを感じるのはあたくしだけじゃないはず。
解説 養老孟司
「西遊記」に限らず 中国の神話や伝説 司書には不思議な魅力がある。日本人だから そう感じるという面もあるに違いない。中国語とはつまり 漢文 だが、今は 漢文なんか ほとんどならないだろうと思う。でも純粋に 大和言葉で書くより 漢文調にした方が読みやすいし、説明が完結で力強い。そう感じられる。何しろ定冠詞も不定冠詞も助詞も 助動詞も格変化も 語尾変化もない
確かに、漢文にそう感じていたことはあったな。
養老孟司氏の解説、なかなか良かった。
