えらく昔のミステリーだと思って読んだら、印象が全然違いました。
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以前、『米粒写経のガラパゴスイッチ』で居島一平さんが紹介していて面白そうだったので、つい読んでみたら、意外や意外。
これ、謎(ミステリー)ではなくない?というのが正直な感想です。
ミステリー音痴、というかミステリー無知だからかもしれないのですが、これってそこまで謎にひねりは無いような気がします。
「戦後派」と呼ばれるいわゆる戦後に育った世代の、当時の学生ならではの恋愛・勉強・夢に対する苦しみ・辛さ・難しさを丁寧に描きながらも、徐々に不気味に論点がずれていき、最終的には「そんな話だったのかー!!」と思わせる物語。
トリックとか推理とか、そういう要素はほとんどないでしょう。
なのでそういう意味では、僕が(勝手に)思っていたミステリーではない。
「裏切られた!」
という気持ちもしない。むしろ
「こいつが悪者っぽいな……」
というやつが本当に悪者だったパターンでした。
山田風太郎さんの文章力の高さと、彼の主義主張・人生観が、やたらと目立ったせいか、あたくしは
「今、ミステリーを読んでいる」
という実感が殆ど無いまま終焉を迎えました。
山田風太郎さんの名前にすっかり怖気づき、「ミステリー、読んだる!!」と過剰に思っていたのかもしれませぬ。
ミステリーとしての爽快感はほとんど無いのですが、内容自体は結構重く、ずっしりくるもの。
でも、最後の方の種明かし感は、後出しジャンケン的なところも多々あり、たまに書評に書かれるような「山田風太郎の技術の粋だ!」とまでは思えませんでした。
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都内在住のおじさん。
3児の父。
座右の銘は『運も実力のウンチ』
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