『モンクロチョウ』 喜国にも古谷にも及ばないねぇ

こういう露悪的な性の話は嫌いではないけれど

『喰う寝るふたり・・・』が好きなもので、こちらも読んでみました。

全然タイプの違う漫画を書くんですね、日暮さんて。
そういう多面的なところは好きですが、どうもこういう露悪的な作品を書くには闇が薄いのではないでしょうかね。あんまし「業」のようなものを感じませんね。

谷崎や田山のような、悪魔的な「業」が無いと、この手の作品は迫力が不足します。
この作品もそんな印象。

エッセンスはいいけど、こみ上げてこない

スクールカーストの話とか、性癖の話とか、童貞こじらせ問題とか、そういう大きくいって「青春」みたいなものをごちゃ混ぜにして、日暮さんの味付けで煮詰めたんでしょうけど、味が染みてないんですな。

名作『月光の囁き』と『グリーンヒル』、『いぬ』あたりを足して3で割って、薄めちゃったような。
もちろん、薄めちゃったら意味ないんですが、うまく煮詰まらなかったんですな。
でも、こういうのはホント、業というか、サガというか、そういったものですから。

作家というのは難しいですな。
業が浅くていけないことなんか無いはずなのに、作家としては致命的。

自問自答の代弁であるところの妖精の描写とか、時折自らを脅迫してくる闇とか、そういう描写がすごくポップで、どうにも味がうすい。
古谷実氏や押見修造氏の業の比ではないです。

つくづく、作家というのは難しい。