『「学力」の経済学』 前半は面白かった

後半は経済学の宣伝でした。

「データ」に基づき教育を経済学的な手法で分析する教育経済学は、「成功する教育・子育て」についてさまざまな貴重な知見を積み上げてきた。そしてその知見は、「教育評論家」や「子育てに成功した親」が個人の経験から述べる主観的な意見よりも、よっぽど価値がある―むしろ、「知っておかないともったいないこと」ですらあるだろう。
本書は、「ゲームが子どもに与える影響」から「少人数学級の効果」まで、今まで「思い込み」で語られてきた教育の効果を、科学的根拠から解き明かした画期的な一冊である。

[amazonjs asin=”4799316850″ locale=”JP” title=”「学力」の経済学”]

・ご褒美で釣っても「よい」
・ほめ育てはしては「いけない」
・ゲームをしても「暴力的にはならない」

と、分かってはいたけれど認めづらかった説を堂々と唱えてくれていたので購入。結局、人間は自分の意見を強化するためにしか本を読まないのかしら。

なんて、堂々巡りの考えになりそうな仮説は排除して。

ご褒美問題

それでも本書は面白かった。特にご褒美で釣っても、のくだり。

 インプットにご褒美を与えると、子どもたちは本を読んだり、宿題をしたりするようになるのでしょうが、必ずしも成績がよくなるとは限りません。 一方、アウトプットにご褒美を与えることは、より直接的に成績をよくすることを目標にしているのですから、直感的には、アウトプットにご褒美を与えるほうがうまくいきそうに思えます。
しかし、結果は逆でした。学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだったのです。
at location 321

インプットというのは明確です。やればいいからね。
しかしアウトプットというのはそうじゃない。結果を出せ、と漫然と言われてもねぇ……ということでしょうな。

確かにそういう面はある。ま、それこそ漫然とインプットすりゃあいいというのも違いますけどね。
子どもに積極的にインプットさせる方法も経済学的に示してくれないかな。

子どもが小さいうちは、トロフィーのように、子どものやる気を刺激するような、お金以外のご褒美を与えるのがよいでしょう。
at location 376

過去の研究蓄積をみる限り、「ご褒美」の設計を正しく行えば、「一生懸命勉強するのが楽しい」という気持ちを失わせることなく、かつ貯蓄することの大切さを学ばせつつ、学力を向上させられるはずです。
at location 388

小さいうちはトロフィーでもいいかもね。本当に性格が決まってくる小学校高学年くらいはどうすりゃいいかしら。経済学的に説明してほしかった。

褒め問題

悪い成績を取った学生に対して自尊心を高めるような介入を行うと、悪い成績を取ったという事実を反省する機会を奪うだけでなく、自分に対して根拠のない自信を持った人にしてしまうのです。at location 457

子どもをほめるときには、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げることが重要です。そうすることによって、さらなる努力を引き出し、難しいことでも挑戦しようとする子どもに育つというのがこの研究から得られた知見です。
at location 490

意味もなくプライドの高い人間がいますけど、そういうことなんでしょうか。日本にもはびこる「褒めそやし」教育の結果なんでしょうか。

「やればできる」という褒め方は良くない、というのは心に留めておいてもいいかもしれません。うっかり使いそう。

五十六先輩も語っているように、とはいえ人間というのは褒めて与えてやらないと動かないですからねぇ。難しい。

まとめ:何を鍛えるか

重要な非認知能力:「自制心」
at location 885

重要な非認知能力:「やり抜く力」
at location 898

著者いわく、この2つが大切だそう。

どちらもあたくしには欠けてるなぁ。我慢できない。堪え性がない。
このあたりには子に伝染しないといいなぁと思っていますけどね。

本書の後半は経済学の宣伝でした。これは別に、どうでも良かった。
子育て本としては前半で終了。
ただその前半だけでも、読む価値はあるかも。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする