にぎりめし

 とある植木屋さんのご夫婦、大層ナニが大好きでして。
 のべつ幕なしやっているわけです。なにせ職業が植木屋。抜いたり挿したりはお手の物……。
 つまらねぇことを言っている場合じゃなく、このご夫婦、本当に好き。昼も夜も問わずスル。
 昼間から「於満子しよう」とはご近所に聞こえが悪いから、二人で取り決めをした。二人の間で「めし」というのをナニのことにする、ということ。
 「おっかぁ、めしにしよう!」てな具合にネ。
 ある日、夫があるお屋敷で仕事に精を出していると、屋敷で昼間っからおっぱじめる若い衆と女中がいた。これを松の上から眺めていると、辛抱たまらなくなって、夫はついには手で慰みをしてしまう。
 いつもの様に昼休みになって帰ってきますが、夫は自分で用が足りてしまったせいで、いつになく元気がありません。そんな夫におかみさんは心配をする。
「どうしたんだい?いつもは昼になるとめしだ、めしだって、いうじゃないか。めしはどうしたんだい?」
「ん、あぁ、飯は……にぎりめしで済ませてきた」

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