チャールズ・ブコウスキー著『パルプ』感想 これがブコウスキーなのか?

初のブコウスキー。評判のわりにはしっくり来なかった。

バーと競馬場に入りびたり、ろくに仕事もしない史上最低の私立探偵ニック・ビレーンのもとに、死んだはずの作家セリーヌを探してくれという依頼が来る。早速調査に乗り出すビレーンだが、それを皮切りに、いくつもの奇妙な事件に巻き込まれていく。死神、浮気妻、宇宙人等が入り乱れ、物語は佳境に突入する。

「それっぽい」雰囲気はあるけど、深そうでまるで深みを感じない。西村賢太が好きな友人が勧めてくれるのだが、あたくしにはピンとこない。同じくだらしない人間が主人公ではあるが、そこの悲哀やら惨めさやらが、全然異質な気がする。文学にとって異質とは何よりも大きい。

解説の東山彰良氏によれば「これでいいのだ」らしいけど、あたくしには赤塚不二夫のようなナンセンスでユーモラスな印象を、少なくとも本書からは得られなかった。「パルプ」というのは低俗な大衆文学雑誌のことだから、これでいいのだ!という説明も、そうかも知れないけどだったら酷評にあうのも当然だろう。

少なくとも、これでブコウスキーにハマった!とはなりませんでした。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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