黒沢清監督映画『cure』感想 役所広司の存在感

黒沢清監督の存在を知ったのはこの作品でしたね。リングよりこっちのほうが怖かったなぁ。

娼婦が惨殺された現場で、死体を見た刑事の高部は、被害者の胸をX字型に切り裂くという殺人事件がひそかに連続していることを訝しがる。彼の友人である心理学者・佐久間が犯人の精神分析を施しても、特異な手口の共通性を解く手掛かりは見つからなかった。

これぞホラー!と思わせる作品。大きい声と残虐な描写だけで怖がらせるのは下級だと思います。本作はそのへんの描写はだいぶ抑えられているんじゃないかな。

正直、 「伯楽陶二朗」のくだりは要らない気がしますが、その他はほぼ満点に近く楽しませていただきました。役所広司の存在感はすごいね。

含みをもたせ、謎のまま終わるラスト。おそらく高部は間宮のような「からっぽ」にはなっていないから、伝道師ではないんじゃないかなとは思うんだけどね。考察サイトとかでは「伝道師として完成した」という解釈が主流らしい。そうかな。

ミイラのような像、謎の蓄音機、Xの文字。
よくわからない小物も散りばめられていて、それもまた面白い。謎が多すぎるまま終わるのは好みじゃないけど、素晴らしいJホラーでしたね。

一番印象的なシーンは生肉を壁にビターン!!って投げるシーン。あれは衝撃だった。

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