痛みを共有するための実験……。
その発想が凄い。
どうでもいいけど、最近の日本アニメ界隈での『七つの大罪』ブームが凄い。
そのものズバリのアニメもあったしね。
埋立地に立地する街・洲籠市に住む男子高校生・阿形勝平には、体に痛みを感じない体質という秘密があった。無気力な性格の勝平は、いじめやカツアゲを受けても、流れるままに無為な日々を過ごしていた。
夏休みを控えて勝平に謎の少女・園崎法子が接近する。法子は「痛みを共有できる」グループ『キズナイーバー』メンバーの一人であり、勝平とその近親者たちは引き込まれる。
なんといっても「人が争いを繰り返す理由は他者の痛みを知りようが無いからだ」という理由から人類が『キズナシステム』を作った、という筋書のセンスの良さが見事。
これにより、自然と青春群像と恋愛とSFが融合して不自然でないようになっています。
なお、外傷が中心の痛みの共有だと思っていたら、話が進むうちに内面での痛みの共有が中心の話だと気付かされます。
その「内面の共有」というのが、早い話が「恥部さらけ出し合戦」で、自分のトラウマのようなものをさらけ出しあって仲良くなっていく。
これは実際社会でもそういうところありますよね。
銭湯などの裸の付き合いが大事、ってのはそういうところを認めての話だと思うし。
ところが、話が折り返された頃からだいぶ話が心を刳る方向になっていきます。
鍵は恋心です。
人間の最も「恥部」ですからね、恋心というのは。
メンバー内での恋心の矢印が、自然とちぐはぐになって、それによってうける失恋手前のようなショック、例えば好きな男が違う女に話しかけて笑っていたとか、を目の当たりにして心が傷を受け、当然にそれが共有される、というような展開。
コメディチックな展開が多くありながら、扱っているのが笑えないシリアスで共感できるものだから、これほど面白くワクワクしてチクチクしながら、毎週楽しみにしてしまうんでしょう。
物語はこれから、どんどん溝深く心刳る内容になるでしょう。それはそれで楽しみ。
岡田麿里さん、素敵すぎます。
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