立川志の輔独演会 トリネタが『お菊の皿』

毎年行っております、立川志の輔独演会。
今年も即完売の大人気のようで。

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2015-08-31 20.47.54

志の麿 金明竹

トチリもありながも、立派に前座を務めあげました。
しかし、町田のお客さんはよく笑う。
やりやすいだろうなぁ、と思います。
プロにとっちゃアマキンは良くない、という人もいますが、セコよりゃいいでしょ。

やかん

マクラでライオンの下りが出た時に、「お、『バール』かな」と思いましたが、『バールのようなもの』のマクラを持ってきた『やかん』でした。

師匠・談志とは違った、徹底的な理屈屋な志の輔師匠らしい、『やかん』。
どちらかというと金馬師匠に近いかしら。

高瀬舟

先日の三鷹でも演ったネタ。
チケットをとっていたものの、仕事の都合で行けなかったので、今回改めて聞けて満足でした。
森鴎外の作品の中でも最も読みやすいものの一つでしょう、『高瀬舟』。
この一席は、これを落語的な話芸に変換し、再構成したものでした。

師匠・談志が「業の肯定」と言った落語。
志の輔師匠は落語をどう捉えているのか。

先日、サンキュータツオさんが「志の輔師匠いわく落語は全編が『照れ』だそうだ」と言っておられましたが、この『高瀬舟』の一席に関して言えば照れを排した、非・落語的なものの追求をなさっているのではないかと考えます。

落語から照れを抜いた「文学的なもの」に迫るために、あえて文学を演っているのでは。
そんなふうに思いながらズーンと沈んだ気持ちになりました。

お菊の皿

仲入り後、「高瀬舟の気持ちのままで帰らせるのは良くない」とおっしゃる師匠。
やっぱり「”俺はこれでいいんだ!”と思って帰って欲しい」との弁に、「さすが」とうなります。

小噺をふんだんに盛り込むなかで、師匠がおっしゃった一言が心に残ります。

「何故勉強するのか」の問いに対しての答えは「一回でも多く笑うため」でございます。
勉強しなきゃあ、笑えないこともある。
今の小噺だって、ピカソを知らなきゃ笑えないんでございます。

ハッとしましたね。
そう。人生を面白おかしく生きるために、勉強するのです。
けして評価されるためではない。そこを履き違えると勉強が辛くなっちゃう。

肝心の『お菊の皿』、志の輔師匠から聴くのは初めてですが、生でこの噺を聴いたのも超久しぶり。
業の肯定らしい、生き生きとした一席でございました。

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