町田に限って言うなら、市民ホールでの落語会より、よっぽどいいですな。
二人会だからって、一人一演目なんてことがない。
ちゃあんと二席づつあるんです。これが嬉しい。
市民ホールでの落語会は長講一席やらせたがってね。
どうも好きになれません。
前座:たま平 一目上がり
「たま平、どっかでみたことが……」と思ったら、あれですよ、正蔵師匠の長男ですよ。史上初の四代落語家としてね。
いや、しかし、様子がいいです。いいじゃないですか。ちゃあんと落語やってますよ。一目上がりも、なかなかのもの。
これ、もしかしたら親父以上になるかもしれない。いい話しっぷり。年齢のせいもあるでしょうが、『たまや』とかやらせてら良いんじゃないかな。元気いっぱいで、言葉のキレもいい。啖呵なんか切らせたいですな。
正蔵 鼓ヶ滝
はじめて聴いたお話です。
正蔵師匠のライフワークである、上方落語の輸入でしょうか。
調べてみたら鼓が滝とは兵庫県の滝ようですね。
サゲといい展開といい、落語らしい落語でした。
喬太郎 百川
最近、色んな所でこの噺を聞きます。
でも、自分としてはこの噺、若い頃は好きじゃなかったんですな。
根底にある、田舎もんを馬鹿にした感じがね、どうにも。
落語ってぇのは都市の文化ですから、ある程度仕方がないのですが、それにしても田舎出身だからって見下しすぎでしょう。江戸は江戸の時分から、田舎もんが跋扈する街ですよね。
でも、喬太郎師匠、さすがです。今まで観た誰よりも面白く演じてらっしゃいました。この噺を聞いて面白いと思ったのは、本当に初めてかも。
嫌味が少なくていいですね。
喬太郎 小政の生い立ち
『ようこそ芸賓館』でやってらしたのを観たかしら。
もちろん、生で観るのは初めて。元々は講談の噺なんですよね。
恥ずかしながら次郎長伝をほぼ知らないので、どの辺がパロディなのかが分かりません。よって、この噺を堪能しきれていないのが残念至極。
とはいえ、喬太郎師匠らしい、切り口で、講談ほど形式張っていなくて、とてもいいですね。やっぱり喬太郎師匠は、短い話をポンポンと2つくらい聴きたいですな。文七もいいけど、寄席の尺で聴きたいです。
正蔵 一文笛
これも初めて聞きました。
正真正銘の上方落語、というか米朝氏作の米朝落語ですな。
これも落語的な落語。
中の悲劇とサゲのおチョケ。
とってもいい噺ですな。
正蔵師匠って、昔よりもっと真面目になった感じしますね。
ほんと、真面目。芸に非常で、自分に厳しい感じ。
爆笑王といわれた父親との対比も典型的で、胸がアツくなります。
やっぱり、真面目な長男は苦労するのかしらね。
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