立川流の中で、最も談志に似ているのは志らくでしょうね。
あたくしはそう思います。
言い淀み方、手つき、仕草などなど。
いくら好きで弟子入りしたにしても、そこまで似なくても、と思うくらい。
物事への考え方も似ているようです。
そして、そんな自分大好きなのが雰囲気から伝わってくる。
談志のファンはある程度は談志信者であることは認めますが、ここまでだとちょっと怖い。
もはや殉教者をみるような気になる時があります。
「そんなに言うなら行かなきゃいいだろ」と思わなくもないのですが、行きました。
行きたかったのです。志らくが、観たかったんです。
今回の独演会は『時そば』と『紺屋高尾』
まずは前座さん、名前をもらったばかりの立川うぉるた(?)が『道灌』を。
演じ分けが微妙でしたが、初講座にしては上出来ではないでしょうか。
アマチュア落語家としては、身近で学ぶことの多い一席でした。
次はお弟子さんの立川らく次。
桑名舟、と談志百席でしか聞いたことのない話を。
「かまぼこ」の下げ以外は結構アドリブなんかを入れて、すごく志らく師匠ぽい話でしたね。
タイプとしては志ら乃師匠に似ているかしら。
さて、いよいよ真打ち登場。
『時そば』のそばを食うシーンについて言及されていました。
やっぱり志ん生は名人上手ではない、ということ。
ま、たしかにね。しかしあの、落語家がそばを食うマネしているところで拍手する習慣ってなんなのかしらね。あたくしは嫌いです。
本当に上手けりゃ、手を叩けばいいけどさ。この間、二ツ目が拍手を催促してるのを観て心底呆れたことがありました。
閑話休題。
志らく師匠の笑いは、人を見下げて笑わすことが多かったです。
こぶ平をけなし、一平をけなす。
談志師匠はそれも仕方ないと、あたくしは思えたけど、志らく師匠のはあまり同意出来ません。
観ていて聞いていて、胸がざわつきました。
高尾は花魁言葉をいつ止めるか
そしてお仲入り後の『紺屋高尾』。
これもあまり好きな出来ではありませんでした。一日経って、やっと理由がわかりかけてます。
- 高尾太夫が早々に花魁言葉を止める
- 久蔵が不真面目な阿呆っぽい
- 言い淀みが増えた
からですな。
1.が一番ひっかかる。久蔵が身分を明かした途端に花魁言葉を止める高尾に、あたくしは違和感を覚えます。この話で一番聡明なのが高尾。その高尾の心の壁が、そんな簡単に打壊されるものでしょうか。特に昨日の志らく師匠は、身分を明かすと高尾はブチ切れ。ものを久蔵に投げつけてます。その高尾が、次の瞬間に素の自分に戻るかしら。
2.は、ちょっとね。いただけない。
久蔵は馬鹿ですよ。馬鹿ですが、馬鹿正直なのであって、けして不真面目でない。
高尾に身分を打ち明ける直前でまで、阿呆な若旦那の真似はしません。
あそこは普通に「あいあい」で良いじゃないですか。
3.これは志らく師匠の問題でね。
晩年の談志師匠のように、言い淀みが増え、長くなった。
切れ味するどい啖呵やセリフ回しが好きだった自分は、もう悲しくて悲しくて。
[amazonjs asin=”4101367213″ locale=”JP” title=”雨ン中の、らくだ (新潮文庫)”]
時の流れの無常さと残酷さを立処に感じて、なんだか寂しい独演会でした。
おわりに
何度も思いますが、独演会で2席は少なくないですか。
せめて3席は聴きたいなぁ。
最新記事 by 写楽斎ジョニー (全て見る)
- 黒澤明監督作品『まあだだよ』感想 所ジョージがハマってる - 2024年9月24日
- 隆慶一郎著『時代小説の愉しみ』感想 こだわりの時代小説おじさん - 2024年9月22日
- 辻村深月著『傲慢と善良」』感想 でもモテ男とクソ真面目女の恋愛でしょ - 2024年9月17日