『みずいろメガネ』 俗っぽくておやじくさいオバサマのエッセイ

プチ鹿島さんがオススメしていたので、とりあえず読んでみた。

尖閣諸島、生活保護費問題。ロンドンオリンピック。
年末恒例「サンデー毎日」掲載の切れ味鋭いコラムで今年を総括!

4年前の時事を中心にしたエッセイ。
見立ての鋭さ、立ち位置の置き方、筆の滑らかさ。

確かにどれもプチ鹿島さんぽい。

今どきの歌にほとんど関心が持てないでいるのだけれど、その理由のたぶん第一は歌詞が素人くさくつまらないことだな、と改めて思った。全部で五十組の歌手が登場したのだけれど、そのうちの五、六組(というか五、六人)の歌には「一人じゃないよ」という言葉が出てくるのだった。  3・11の震災以来、「一人じゃない」とか「絆」とかいう言葉が盛んに使われるようになった。震災からの復興をめざす人たちの姿をニュースなどで見るたび、私自身、「一人じゃない」ことの強さ、「絆」のたいせつさをかみしめずにはいられない。at location 564

この熱狂ぶりについてコラムニストの泉麻人さんが、一言で言うと「アスリート大神宮」だとテレビでコメントしていたのが面白かった。メダリストたちが乗っているバスを祭りの山車に見立てたところが、さすが鋭い。
at location 2875

読んでいて「確かになぁ」と片耳で聞ける、横目で見られる。
けれど、どこか心に引っかかる。
そういう文章。

また、落語について書いている部分も多くて、中々に共鳴してしまいました。

その代わり、評者としての談志には共感も啓発もされるところが多かった。評者としての談志の一番いいところが出ているのは『席亭立川談志の ゆめの寄席』(CD十巻セット、竹書房)ではないだろうか。
at location 234

そうかもしれない、と読みながら考えてしまう。
ちょとした一石を心に投じられてしまうんですな。

いいエッセイでした。

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