癖になって読んでしまう。
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もし、あなたが同時通訳者だとして、現場で突然「他人のフンドシで相撲を取る」という表現が出てきたら、どう訳します?時間はないし、誤訳も困る。同時通訳は、次にどんな言葉が出てくるかわからない、スリル満点ストレス強烈な世界。そのストレス解消のため、国際化社会に欠かせない重職でありながら、同時通訳者の仕事には爆笑がつきもの。国際会議の舞台裏から、ロシアの小話や業界笑い話、柳瀬尚紀・永井愛氏との充実のコトバ対談まで、抱腹絶倒のエッセイ集!
はやり言語で飯を食っているお方です。
とにかく物事を咀嚼する力がすごい。
読みやすくて愛される理由なのかもしれません。
ことほどさように、笑いほど時代や国情や身分や立場など文脈依存度の高い、つまり他言語に転換するのが難しい代物はない。なかでも、絶望的になるのが、言葉遊び、掛詞や駄洒落の類である。通訳者が訳すことができるのは、言葉の意味だけで、言葉の響きや文字面に依拠する遊びは訳された言語では失われてしまうのだから当然ではある。なのに、同音異義語が多い日本語は、この言葉遊びに由来する笑いが多い。多すぎる。
at location 143
日本語はハイコンテキストですし、日本人がハイコンテキストなものを好みますからねぇ。
通訳という仕事には喜劇の条件が全部揃っている。時間的に極度に圧縮されていること。お仕えするご主人様(顧客、テーマ)が毎回めまぐるしく変わること。主な登場人物である話し手も聞き手も、それに通訳者も非常に真剣に役を演じていること。この緊張に満ちた通訳の現場では異なる文化を背にさまざまな意見や立場が絶えず火花を散らしている。素っ頓狂な出来事や耳目を疑うような話がゴロゴロ転がっている。
at location 1101
確かに。いいことついてくる。『時間的に極度に圧縮されていること。お仕えするご主人様(顧客、テーマ)が毎回めまぐるしく変わること。主な登場人物である話し手も聞き手も、それに通訳者も非常に真剣に役を演じていること。』
鋭いなぁ。逼迫した環境で、コロコロと役が代わり、誰もが真剣。これを遠目でみると喜劇。ね。三谷喜劇とか、この辺の要素をうまく使っている気がする。
辞書といっても、たとえばチベット語の辞書となると日本ではまず出ませんね。ところが、市場原理が働かなかったソ連ではちゃんと出したわけです。もう、われわれが名前を知らない国の言語をやっている人が必ずいるんですよ。 日本語についていえば、『源氏物語』や『平家物語』は当然のことながら、『大宝律令』の訳まで出ています。日本人だって読まないのに、ロシア語訳があるんですよ。
at location 1615
ロシアすげぇ。市場原理至上主義が公然と跋扈している現代においてのささやかなアンチテーゼとなりえ……ないか。
世界の言語は大きく分けると三種類あります。日本語やトルコ語のように、「てにをは」のような助詞を付けて語の文中の役割を示す「膠着語」。ロシア語やドイツ語のように、語尾変化によって文中の語の役割が定まる「屈折語」。それに、中国語や英語のように、語順によって語の文中の役割が決まる「孤立語」です。
at location 3124
へー。そうなんだ。勉強になるなぁ。
自分も英語と日本語と、あと何か勉強してみたいような気もするけど、無理なような気もする。いや、きっかけが、なぁ。今後ともありそうにない。
言語は意思疎通のみならず思考の具でもあるから外国語習得は、常日頃空気のような存在だった母語による常識や思考形式を客観視する契機になるはずで、だからこそ本来外国語習得者の属性ともいうべき批判精神や複眼思考といった特徴は、他の言語の通訳にはふんだんに見られる。なぜそれが英語通訳には感じられないのであろうか。
at location 2108
いい言葉だなぁ。言語は意思疎通のみならず思考の具、ね。本当にそうよね。
そういう考えに同意できるようになるまでに30年かかったからなぁ。大学のときとかにこれがわかっていれば、全く違った大学生活を送れたろうにな。
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