マツオさんがハルキストだし、読んでみようかと思っても電子書籍化されておらず。長らく諦めていましたが、この度、電子書籍化されました。
春樹、待ってたよ。
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「あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風に生きている」1970年8月、帰省した海辺の街。大学生の〈僕〉は、行きつけのバーで地元の友人〈鼠〉と語り明かし、女の子と知り合い、そして夏の終わりを迎える。過ぎ去りつつある青春の残照を鋭敏にとらえ群像新人賞を受賞した、村上春樹のデビュー作にして「初期三部作」第一作。
何も起こらず、何も生まない。そんな小説。
だけど、これが格好よかったんでしょうね、当時は。
批判も多いけど、とりあえず、ま、嫌なら読まなきゃいいんだし。
位置: 223
僕は騙されたような気分のまま、仕方なく肯いた。 週に一度、日曜日の午後、僕は電車とバスを乗り継いで医者の家に通い、コーヒー・ロールやアップルパイやパンケーキや蜜のついたクロワッサンを食べながら治療を受けた。一年ばかりの間だったが、おかげで僕は歯医者にまで通う羽目になった。
こういうシニカルな表現は好き。
位置: 742
「おいしかった?」 「とてもね。」 彼女は下唇を軽く嚙んだ。 「何故いつも訊ねられるまで何も言わないの?」 「さあね、癖なんだよ。いつも肝心なことだけ言い忘れる。」 「忠告していいかしら?」 「どうぞ。」 「なおさないと損するわよ。」 「多分ね。でもね、ポンコツ車と同じなんだ。何処かを修理すると別のところが目立ってくる。」
これも皮肉っぽいね。自虐か。
読みながら、好きな所が沢山あることに気づきました。
小説としては、あまりにビール飲んで車運転して女の子と知り合って、登場人物に自己投影しにくい感じですが、嫌いじゃない。むしろ、好き。
あ、あたくしも、村上春樹好きだったんですね。
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