『涼宮ハルヒの直観』感想2 やるじゃん!すこし衒学的だが面白い

長門の文学語りも面白い。好みを話せるってすごい進歩だよな。

位置: 1,768
「長門サンは何か?」 「……『緑のカプセルの 謎』」

残念ながらkindleでは出ていないようで。読めないぜー。

位置: 1,775
「じゃあ、あたしも 尋ねるぞ」Tは 嬉々 として、「アントニー・バークリーの中ではどれかを問いたい。ただしアントニー・バークリー名義のものに限る。当然すべて読んでいるだろう」
「『毒入りチョコレート事件』ですね」古泉は 即答 し、「あなたは?」
「『毒入りチョコレート事件』だ。長門サンは?」
「……『毒入りチョコレート』」
ううむ、と古泉とTが同時に 唸っ

誰が得するんだろうな、この下り。最高ですが。

位置: 2,047
肩 をすくめながらも古泉は、
「ですが、僕としては読者への挑戦状があるような、ゴリゴリのパズラーこそ本格の条件だと力説したいところです」
「そこまで結論してしまうと、原理主義者のようで、ア・リトル、ガエンジしがたいものを感じる」
脳内でガエンジを、 肯 んじ、に 変換 するまで少しかかった。

そして小泉氏が結構老害的な感じなのも面白い。若いのにすでにゴリゴリの本格至上主義者とはね。

位置: 3,185
「その二つの問いの答えは同じようなものだから簡単に言うわ」
ハルヒはすうと息を吸い、 若干 のタメを持たせた後、
「付き人さんのセリフだと思っていたもののうち、いくつかは実は鶴屋さんのセリフだったのよ」

叙述トリックとしては基本ですが、しかしあの鶴屋さんでやると全く違和感しかない。これはあたくしでも気付きました。ま、端から叙述トリックあるよ、ってわかっていたってのはありますがね。

黄色のハイライト | 位置: 4,858
「日本人はどちらかというとパニュルジュの羊的な人種であるから、多少、人と違っていた方が 愉快 な人間だと思われる、と教えられたが、まさか」

ここでガルガンチュワとパンタグリュエルを持ち出すあたりが衒学的だと思うんですよ。高校生そんなこと言わないでしょ。

ラノベは衒学的展開好きだけどね。付和雷同的、といえばいいのをあえてパニュルジュという。

位置: 5,261
「先程 のヘアピンの 逸話 ですが」
古泉がいつもの 微笑 を使いつつ、 「まさにチェーホフの 銃 を体現したような話でしたね」
何だそれは。パブロフの犬の類語かなんかか。いや待て。ひょっとしたら知っているかもしれないから、その銃の説明をしてくれ。
「帝政 ロシア時代の劇作家アントン・チェーホフが次のような意味のことを言っています。いわく、『物語の 序盤 に銃が 壁 に 掛けられているシーンがあったとしたら、その銃はいずれ 発砲 されなくてはならない』。つまり、思わせぶりに登場させた小道具をただの無意味なインテリアとして使用してはならず、もしその小道具が物語に何の関係もないのなら、そもそも登場させるべきではないとする作劇上のルールです。簡単に言ってしまえば『回収されない 伏線 は張ってはならない』となるでしょうか。物語を創作する上での一種の警句ですね」

これ、意味深ですよね。この『直観』でいうところの、なんなのかしら。もう一度読み直す必要があるかしら。

位置: 5,280
「チェーホフは劇作家 兼 小説家として有名ですが、 数多 の著作の中には本格ミステリテイストのものもありまして、特に『安全マッチ』という喜劇チックな短編は百年以上前に書かれたにもかかわらず現代のミステリシーンを 風刺 するような一節が見受けられ、これは今も昔も人間の感性はそれほど変化していないという事実を表しているのか、それとも本格ミステリを 巡る論争の歴史は 輪廻 のように 繰り返していると判断するべきなのか──」

好きだねぇ、小泉氏。だいぶ高感度あがった。

ハルヒ、やっぱり面白いね。続編が楽しみだ。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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