『涼宮ハルヒの直観』感想1 やるじゃん!すこし衒学的だが面白い

果たしてラノベファンがどれだけ楽しめるのかは不安ですが、あたくしは十分楽しませていただきました。

「直感」ではなく「直観」なんですよね。
InspirationではなくIntuitionであります。

不思議も異変もない日常を、ハルヒとSOS団の「直観」が読み解く!250ページを超える完全書き下ろし「鶴屋さんの挑戦」に、画集・雑誌に収録された2編の短編を加えた待望の「涼宮ハルヒ」シリーズ最新刊

鶴屋さんの挑戦、あたくしは好きです。でも古典的ミステリが好きじゃない人はどうだろうな。マツオさんはどう思ったかしら。

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「ホラーとミステリは表裏一体なところがありますから」
古泉は 突然 の来客が持ってきた 書籍 と印刷用紙を検分しながら、
「幽霊 の正体が本当に幽霊だったらホラーですが、 枯れ尾花 や 柳 の木の 見 間違いだったなら、ただの世間話です。このようにホラーじみた現象を現実の常識内に当てはめ、 理 に落とすプロセスこそ、本格ミステリが持つ特有の構造なのです。ディクスン・カーなどがこのスタイルを 巧みに使うことで有名ですね」

小泉氏の口からディクスン・カーが出てくるとは。今回、小泉氏はだいぶ喋ります。もともとおしゃべりですが、地を出したおしゃべりが多い。ミステリファンということは間違いなさそう。

位置: 1,611
ハルヒは指を折りつつ、 「持国天、 増長天、 広目天、 多聞天、 毘沙門天、ほら、五人でしょ」
流されるまま 首肯 しそうになったが、
「そのうちの一つは、誰だったかの別名だろ、確か」
「多聞天の別名が毘沙門天ということになってるわよね。でも、それは後世の人々を 欺くためのトリックだったんだわ。そう、つまり多聞天と毘沙門天は 双子 の兄弟だったのよ。それか、どっちかがどっちかの別人格ね。または二人で一役を演じていたか。いいじゃない。そっちのほうがグッとドラマ性が増すわ」

この発想、面白いよね。四天王で双子トリックを使う。
谷川先生、やりますね。

位置: 1,708
割と最近のことなのだが、ここのところ放課後の県立 北 高文芸部部室の一角で、何やら不穏当な会話が 交わされているシーンを、たまに見かけるようになった。
曰く「アリバイトリック」とか「不可能犯罪」とか「ホニャララの殺人」とか「ナントカの 惨劇」とか「ナニナニの 恐怖」とかいうネガティブワードな面々から、果ては「ヨードチンキの 瓶」とか「バールストンギャンビット」とか「レッドヘリング」とか「Yのマンドリン」とか「アクロイドのアレ」とかなどの、 素人 には何のことだかさっぱり解らないジャーゴンが、特に広くもない部室内を飛び交っている。

現役高校生の会話とは思えません。あたくしも混ざりたい。

位置: 1,748
長門は無言でページに目を落としたまま、 「…………」 「では、海外のものでいきましょう。そうですね、手始めに、ジョン・ディクスン・カーの作品群の中で、一番好きなものは何ですか? ただし『三つの 棺』と『ユダの窓』と『プレーグ・コートの殺人』は一説によると 殿堂 入りを果たしているので、できればこの三つ以外から選んでください」
いったい 誰 の決めた殿堂なのか。

『ユダの窓』は最近読みましたね。
面白かったな。他の2つも読まなきゃな。

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「ベリィライトだとでも言いたいのか?
あたしは好きなんだという感情に背を向けることはできない。古泉、あなたのターンだ」
「どれか一つと言われたら、それはもう『 火刑 法廷』に 尽きますね。ラストのエピローグ、ある人物の独白がもたらす 衝撃 といい、ホラーとミステリ、二つのジャンルを 融合 させる 傑出 した 手腕 といい、物語としての完成度が 桁違い」

いつもよりより饒舌な小泉氏。
そしてこのあと、本格ミステリへ突入するのです。これがまた面白いんだ。

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