ちょっと新訳版と合わなかったかな?『華氏451度』

けだしアイデアはすごい。けど、翻訳のせいか、中身はいまいち入ってこないんだよなー。

位置: 1,320
フェーバーはクンクンと書物のにおいを嗅いだ。
「ご存知かな、本はナツメグやら異国のスパイスのような香りがすることを。子どものころ、本のにおいを嗅ぐのが大好きでね。ああ、昔はすばらしい本がいくらでもあったのに、みんな消えてしまった」
ページを繰る。
「ミスター・モンターグ、きみの目のまえにいるのは臆病者だ。ずっと昔、わたしは事態が進行してゆくのを目にしていた。しかしなにもいわなかった。わたしは、誰もその〝罪〟に耳を傾けようともせん時代に、その気になれば声をあげることもできた 無辜 の民のひとりだったのに、口を閉ざして、みずから罪人になりさがった。

チャンスを逃した男の発言。なんだか他人事ではありません。
こうしている間にも好機は手の中をすり抜けている可能性がある。

位置: 1,348
その一。こうした書物がなぜ重要なのか、おわかりかな? それは本質が秘められておるからだ。では、本質なることばはなにを意味するのか? わたしはそれぞれのものが持つ特性だと思っておる。この本には毛穴がある。目鼻がある。この本を顕微鏡でのぞけば、レンズの下に命が見える。命が際限なく、ふんだんに流れていくのが見える。一枚の紙の一インチ四方あたりの毛穴の数が多ければ多いほど、誠実に記された命の詳細な記録が、より多く得られ、読んだ者はより〝文学的〟になる。なんにせよ、それが わたしの 定義でね。 細部を語れ。 生きいきとした細部を。すぐれた作家はいくたびも命にふれる。凡庸な作家はさらりと表面をなでるだけ。悪しき作家は蹂躙し、蠅がたかるにまかせる

「文学的」になることがどれほど素晴らしいのか。あたくしは文学的でない生き方もそれはそれでいいと思います。コスパ等でいうと「文学的」よりよほど「実益的」であるほうがいいと思いますが。とにかく人それぞれなんでね。

位置: 1,700
「さっさと帰れよ」モンターグは静かなまなざしで、ひたと彼女を見すえた。「帰って、離婚した最初のだんなと、ジェットカーで事故死した二番めのだんなと、頭を吹き飛ばした三番めのだんなのことを考えるんだな。両手の指じゃ足りないくらいくりかえした堕胎のことや、胸くそわるい帝王切開のことも、あんたを心から嫌ってる子どもたちのことも! さっさと帰って、どうしてこんなことになったのか、そうならないように努力したことがあるのか、ようく考えることだ。帰れ、帰れ!」彼は叫んだ。「もたもたしてると、張り倒して、そとへ蹴りだすぞ!」

文学的な人間はこういうこと言うかね。デリカシーのない。何のために文学を読んでいるのかわかりゃしない。

位置: 1,888
左、右、左……
「あの子は、いろんなものを見ていただけです。誰になにをしたわけでもない。なんの干渉もしませんでしたよ」
「なんの干渉もしない、だと! お前につきまとって、ぺちゃくちゃしゃべっただろうが。ああいう、衝撃のあまりなにもいえないけれど、わたしは世界のためによいことをしています、みたいな、いかにも聖人ぶったえげつない連中には、人に罪悪感をいだかせるという才能があるんだ。まったく始末がわるい。真夜中の太陽みたいに昇ってきて、寝ているお前らにいやな汗をかかせるんだ

翻訳のせいなのか何なのか、ちょっと内容が読み取りづらいんですよね、このあたり。筋をおうの精いっぱい、というか筋がわかりづらい。いまのあたくしにはこれが精いっぱいかも。

位置: 2,624
彼らは、自分たちの頭のなかにあるものが将来、日々の夜明けを純粋な光で輝かせると確信しているわけではない。彼らが確信しているのはただ、その静かなまなざしの奥に本が整理保管されていて、その一ページの欠けもない本が、いつの日か、きれいな指の、あるいは汚れた指の客が訪ねてきてくれるのを待っている、ということだけなのだ。
モンターグは歩きながら、横目でひとりひとりの顔をちらちらと盗み見ていた。 「本を表紙で判断してはいかんぞ」と誰かがいった。
全員が静かに笑い、下流への旅はつづい

You can’t buy book by looking on the cover, ってか。ヤードバーズでしたっけ。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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