最後の方の畳み掛ける物語性、そしてそれに反比例して減っていくミステリ性。
どうにも評価しづらいですな。
自分を「神様」と名乗り、猫殺し事件の犯人を告げる謎の転校生の正体とは? 神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか謎の転校生・鈴木太郎が事件の犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。そして、鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか?
作者の麻耶雄嵩さん。
どうやら他の著書を見る限り、かなりのロジカルミステリ肌の人。
まさか、この意味不明で論理破綻していてかつ荒唐無稽なラストを書くとは思えない。
つまり、作者は”あえて”ロジカルにしなかったというのがあたくしの見解。
ミステリには太刀打ち出来ないものがある。それが神様。
ロジカルではない存在。
鈴木くんという非論理な存在に、論理的な主人公が最後まで勝てない話。
それでいいとした作者の気概。
どれもたまりません。
摩耶さん、いいものを読ませていただきました。
こういう作品、大好き。
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都内在住のおじさん。
3児の父。
座右の銘は『運も実力のウンチ』
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