信頼できるツイッターの人がおすすめしていたので読了。
全然おもしろくなかったというほどではない。
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに――「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!
判で押したような登場人物が、それぞれ、すこし面白い動きをみせる。コレ自体は別につまらないことじゃないけど、その結果は今イチ。
Amazonのレビューが☆4つに行っていなくて、「なるほど」と思いました。総じて「まぁまぁ」って感じなんすかね。
伊坂幸太郎氏の本はどれもあっさりしてて、つゆのない素麺のような味わい。まだあたくしにはいらない。こってりラーメンのようなミステリが読みたい。
位置: 2,662
「まあね。危機感ってのは、頭では分かっていても、意外に実感を伴わないものだからね」 「どういうことだ」短髪男の鼻が、前を向く。 「大丈夫だと思っちゃうんだ」比与子が笑う。「いくら危ない状況にいてもね、たぶん大丈夫だろう、って思うもんなんだって。危険、と書かれた箱だって、開けてみるまでは、『それほど危険じゃないだろう』って高をくくってるわけ。指名手配犯がパチンコ屋に行くのと同じ心理だよ。まあ大丈夫じゃねえか、って考えてるわけ。急に、大変なことにはならないだろう、って。危険は段階を踏んで訪れると、思い込んでるわけ。肺癌になると言われても、煙草をやめないのと同じ」位置: 3,768
「やっぱり、送ってもらっていいですか?」と鈴木は頭を下げた。「指輪を捜しに行きたいんです」 「指輪?」 「行かないと」 偉い、と亡き妻が耳元で手を 叩いている。「忘れているのかと思った」と。どうだろう、僕は、君のために結構頑張ってるんじゃないかな。
そのあっさりさが、殺し屋たちに対する変な同情であったり共感だったりの源ではあるんだけどね。
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