風カオル著『ハガキ職人タカギ!』感想③ 理由なんてない #ハガキ職人

すべての物事に理由はあるが、明らかにしなきゃいけない理由はないんですよね。

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書きたい。俺もこのコーナーに投稿したい。負けたくない。俺だってやれる。シャッチョさんより面白いネタを送ってやる。  血が全身に急激に巡ったような感覚。今すぐ外へ出て、走り出したい気分だ。だが、その時間も惜しい。誰かを傷つけてしまうかもしれない。そんな仮の話で何もできないなんて、やっぱり、ただ自分が怖いだけだ。  ノートを開き、シャーペンで「はじめの村」と記入する。村という字から枝分かれの線を引く。川。ホタル。呪い。杉林。芝刈り。レジャー施設。郷土料理。過疎。村から連想される言葉を手当たり次第に書く。何が種になるか分からない。研ぎ澄ませろ。連結させろ。そこから飛躍させろ。シャッチョさんみたいに。なんだよあの人。大嫌いだよ。人を小馬鹿にしてさ。こっちがちょっと活躍すると態度変えて擦り寄ってきて。懐古主義で。自分のやり方以外は認めないタイプ。クソつまんねえウェブラジオやりやがって。腹立つよ。投稿が面白えのだけは認めるけど。面白えよ。参るよ。尊敬してるよ。大嫌いだよ。

結局、誰も傷つけないというのは理想であって非現実的なんですよね。傷つけながら生きていくというのが人間の業なわけです。快楽と犠牲がどこかで表裏一体なのです。

だからって何もしなくていい理由にはならないし、好き勝手やっていい理由にもならない。難しいね、どうも。

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でも、みんなこんなふうに笑ってくれている。  ハガキ職人は給料が出るわけじゃないし、自分で職人と名乗るのも違うし、作ったネタが後世まで語り継がれるわけでもないし、パーソナリティに町ですれ違っても挨拶もされない。けれど、深夜のほんの一瞬だけ、日本で一番くだらない奴になれる。

結局キレイにまとめましたけど。作者にとっては、タカギくんにとっては、そうなんでしょう。あたくしは……すこし彼のとも、違うかな。でも、なんざんしょ。そこに面白さが要求されているから、ってか。

ほんと、なんざんしょ。

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