やっぱりすごい佐藤優『十五の夏』

あたくしにも、色々とチャンスはあったはずなんですがね。

一九七五年、高一の夏休み。ソ連・東欧一人旅。
異能の元外交官にして、作家・神学者である“知の巨人”の
思想と行動の原点。40日間の旅行記。

僕がソ連・東欧を旅することになったのは、高校入学に対する両親からの「御褒美」だ。旅行費用は、僕の手持ちの小遣いを入れて、48万円もかかる。僕は父の給与がいったいいくらか知らないが、浦和高校の3年間の授業料の10倍以上になるのは間違いない。両親には申し訳ないと思ったが、好奇心を優先した。

羽田→カイロ空港→チューリヒ→シャフハウゼン→シュツットガルト→ミュンヘン→プラハ→ワルシャワ→ブダペシュト→ブカレスト→キエフ→

すごいことよね。高校の授業料の10倍だから、単純に比較は出来ないけど今なら月1万円くらいだから

1万円×3年×12ヶ月×10倍=360万円!?

夏休みとか時代とか云々をすべて引いてもこれなんだから、凄い。
英断ですよね。あたくしも父として、同じような旅をさせたい。

お金は……なんとかなるか……しら?

それよか、やっぱり佐藤さんが高校入学当時から野望に燃え、また中学時代から行動力にあふれているのが何よりすごい。やっぱり家の文化資本が物を言うのかしら。子どもたちにも文化資本あふれる環境を提供したいものですね。

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社会主義国で、ホテルをとったり、レストランで食事をすることがこれほどたいへんとは思わなかった。

噂には聞くけどね。体験するのと聞いたことが在るとでは、天と地ほど違う。

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15 歳のときに海外旅行、それもほとんど日本人が行かないソ連や東欧を旅行すると、その経験は一生活きます。ものの見方や考え方が、他の人と違ってきます。だから、僕も外国に行くときは、極力、娘を連れていくことにしているんです」  福井先生と少し表現は違うが、東京からカイロに向かうエジプト航空機の隣に座った会社社長からも同じようなことを言われたのを思い出した。

この親も文化資本高そうだなー。可愛い子には旅をさせろ、ってな。

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「日本では、ルーマニアは、ソ連の言いなりにならない自由な国と思われている。アメリカとの関係も良い。1968年のチェコスロバキア侵攻にも参加しなかった」
「マサルはこれからブカレストを訪れるんだろう。自分の目で見れば、ルーマニアがどういう国かわかるよ」とフィフィが言った。  それを受けて、お父さんが「ハンガリー人は、あまり民族的偏見を持たない民族だけど、ルーマニア人に関する話題になると興奮する。重苦しい話はこれくらいにしよう」と言って、話を切り上げた。

隣の国同士は仲が悪いと言われていますが、それも「仲が悪い」程度で済むうちは良いんだけどね。

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フィフィが披露したのはこんな話だった。
あるとき、モスクワを訪れたハンガリー政府代表団が「わが国にも海軍省は必要なので認めてくれ」とソ連政府に要請した。
ソ連政府高官は、首をかしげて「ハンガリーには海がないじゃないか。それなのになぜ海軍省が必要なんだ」  それに対してハンガリー政府代表団は、「ソ連にだって文化省があるじゃないか」と答えた

談志師匠がソビエトのジョーク好きだったなぁ。あたくしも好きです。シニカルでいいよね。自虐的なところとかも好み。

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現代ハンガリー語を外国語経由で勉強するのならば、ロシア語の教科書、参考書、文法書、辞書が優れています。特に新語や新しい表現がロシア語の辞書には盛り込まれている。日本でハンガリー語を学ぶ場合、独習が基本となるでしょうから、ロシア語経由でハンガリー語を勉強することをお勧めします」
「ハンガリー人はロシアが嫌いじゃないんですか」
「ソ連を好きな人はいないと思います。ロシアとなると別です。ロシアが嫌いな人もいれば、好きな人もいます。フィフィのお姉さんは大学でロシア文学を専攻しました。ロシア文学を愛しています」

米原万里さんの本にも、ソビエトの辞書のレベルが素晴らしいと書いてあった記憶があります。いいなぁ。共産趣味じゃないけど、そういうのにかぶれる人生もあったはずなんだ。

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「ハンガリーが生き残るために、ソ連との関係が死活的に重要だからです」
生き残るために外国語の勉強をしなくてはならない状況があるということだ。好奇心でしか外国語の勉強について考えていなかった僕には、書店員の話はとても衝撃的だった。

日本で言えば英語・中国語がそれに当たるんだろうけど。なんだかんだ言って、どうも自分には危機感がかけているなぁと思わざるを得ない。ま、仕方ないんだけどね。

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「日本では、上映の途中で映画館に入ることができるのか」
「もちろんできる。途中から映画を見て、次の上映で残りを見ればいい」
「それじゃストーリーが混乱するじゃないか」
「別に混乱しない。後で頭の中で再整理すればいい」

昔の日本の映画館はそうだったらしいね。今はそんなことないけど。伏線も何も楽しめないじゃないか、と言われればそれまでなんだろうけど。でも、そういう楽しみ方もあってもいいよね。与えられたように楽しむだけが楽しみ方じゃないはず。

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「親戚でもない僕に、こんなによくしてもらって、恐縮している」
「僕たちの家族にとってマサルは親戚のようなものだ」
「しかし、資本主義国の人間と親しくしているとトラブルに巻き込まれるんじゃないかと心配にならないのだろうか」
「その辺は、何が許されることで、何が許されないことなのか、両親はよくわかっている。両親はマサルを通じて僕に世界は広いということを伝えようと考えている。マサルから来る手紙を両親も楽しみにしている」
「僕の両親もそうだ。今回、僕をハンガリーやソ連に送り出したのも、両親たちが若い頃は外国に行く機会がなかったから、僕には若いうちに日本と文化や社会体制の違う国を見せて、僕の視野を広げようとしている」

良い親だなぁ。つくづく思うよ。あたくしの親も良い親だと思うけど、そういう積極的な育児をするタイプじゃなかった。別に恨みはないし、全てあたくし自身の問題でもあるけど、この本を読むといかに自分がレベルの低いところで満足して生きてきたかを思わせられるね。

いや、ほんと、打ちのめされますよ。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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