『ノルウェイの森』のミドリの魅力を誰か教えてくれ

自然体でかっこいい、そういう男に憧れる衝動を感じます。

p97
「ねえ、どうして今日授業で出席取ったとき返事しなかったの? ワタナベってあなたの名前で しょ? ワタナベ・トオルって」
「そうだよ」
「じゃどうして返事しなかったの?」
「今日はあまり返事したくなかったんだ」
 彼女はもう一度サングラスを外してテーブルの上に置き、まるで珍しい動物の入っている檻で ものぞきこむような目つきで僕をじっと眺めた。「『今日はあまり返事したくなかったんだ』」と 彼女はくりかえした。「ねえ、あなたってなんだかハンフリー・ボガートみたいなしゃべり方す るのね。クールでタフで」
「まさか。僕はごく普通の人間だよ。そのへんのどこにでもいる」
 奥さんがコーヒーを持ってきて僕の前に置いた。僕は砂糖もクリームも入れずにそれをそっと すすった。
「ほらね、やっぱり砂糖もクリームも入れないでしょ」

普通に返事をしないで珈琲をブラックですすっただけ。それが異常に異性にウケる。そんな世界があったらな。あたくしだって毎日珈琲すすってるし、返事だって本当はしたくないんだけどな。仕事だからしているだけで。

p105
「紳士であることって、どういうことなんですか? もし定義があるなら教えてもらえません
か」
「自分がやりたいことをやるのではなく、やるべきことをやるのが紳士だ」
「あなたは僕がこれまで会った人の中でいちばん変った人ですね」と僕は言った。
「お前は俺がこれまで会った人間の中でいちばんまともな人間だよ」と彼は言った。

永沢さんというキャラクター、魅力的ではあります。実際、こういうプラグマティックというか、そういう人間はいるし、結構社会で成功している。あたくしは羨ましいとも羨ましくないとも思いますな。そういう風に率直に生きられたら、とも思うし、率直に生きるということは怖いことだという認識もある。

 その日曜日の午後にはばたばたといろんなことが起った。奇妙な日だった。緑の家のすぐ近所 で火事があって、僕らは三階の物干しにのぼってそれを見物し、そしてなんとなくキスをした。 そんな風に言ってしまうと馬鹿みたいだけれど、物事は実にそのとおりに進行したのだ。

きっと春樹を含めたある一定の人たちの間ではそういうことって良く起こることなんでしょう。あたくしにはまるで起こったことがないけれど。そしてそれは変えられない。変わったってしょうがない。おのれのリアルを追求するしか、人は生きることが出来ないんだから。

p143
「違うわよ。いくら私でもそこまでは求めてないわよ。私が求めているのは単なるわがままな の。完璧なわがまま。たとえば今私があなたに向って苺のショート・ケーキが食べたいって言う わね、するとあなたは何もかも放りだして走ってそれを買いに行くのよ。そしてはあはあ言いな がら帰ってきて『はいミドリ、苺のショート・ケーキだよ』ってさしだすでしょ、すると私は 『ふん、こんなのもう食べたくなくなっちゃったわよ』って言ってそれを窓からぽいと放り投げ るの。私が求めているのはそういうものなの」
「そんなの愛とは何の関係もないような気がするけどな」と僕はいささか愕然として言った。
「あるわよ。あなたが知らないだけよ」と緑は言った。「女の子にはね、そういうのがものすご く大切なときがあるのよ」
「苺のショート・ケーキを窓から放り投げることが?」
「そうよ。私は相手の男の人にこう言ってほしいのよ。『わかったよ、ミドリ。僕がわるかった。 君が苺のショート・ケーキを食べたくなくなることくらい推察するべきだった。僕はロバのウンコみたいに馬鹿で無神経だった。おわびにもう一度何かべつのものを買いに行ってきてあげよう。何がいい? チョコレート・ムース、それともチーズ・ケーキ?』
「するとどうなる?」
「私、そうしてもらったぶんきちんと相手を愛するの」
「ずいぶん理不尽な話みたいに思えるけどな」
「でも私にとってそれが愛なのよ。誰も理解してくれないけれど」

読んでてイライラする。それがこのミドリという女の魅力なのかしら。
性欲から比較的開放された今、さらにこのミドリという女のわがままっぷりが魅力には思えなくなってきました。こんなこと言われたらあきれて放り出してしまうわ。

あとちょっと口調が、いささか定型的すぎやしません?なんだか説教をされているような。書かれたのが昔だからかな。バブルのにおいがする。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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