『銃・病原菌・鉄』 コロナ禍で読む人、爆増? 2

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ピサロの功績にかかわる出版は、彼の部下クリストバル・デ・メナ船長によるものが最初であるが、アタワルパの処刑からわずか九カ月後の、一五三四年四月にセビリアで出版されている。この本はたちまちベストセラーとなり、すぐにいくつものヨーロッパ語に翻訳されている。

やっぱりみんな新大陸に興味津々なわけだ。そりゃそうだ。
月面旅行記読みたいもんね。

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ピサロを成功に導いた直接の要因は、銃器・鉄製の武器、そして騎馬などにもとづく軍事技術、ユーラシアの風土病・伝染病に対する免疫、ヨーロッパの航海技術、ヨーロッパ国家の集権的な政治機構、そして文字を持っていたことである。本書のタイトルの『銃・病原菌・鉄』は、ヨーロッパ人が他の大陸を征服できた直接の要因を凝縮して表現したものである。

なんとなく「銃」と「鉄」がかぶっている気がするけど。

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野営地から野営地へ移動しなければならない狩猟採集民の母親は、身のまわりのものを運びながらの行動を強いられ、幼児を一人しか連れて歩けない。つぎの子供は、先に生まれた子供がみんなの足手まといにならずに歩けるようになるまでは産めない。現実に、移住生活をしている狩猟採集民の女性は、授乳時の無月経や、禁欲、間引き、中絶などによって、つぎの子を産むまでに約四年の間隔をあけている。

これ、本当にそうね。
4歳位にならないと子どもって目が離せないからね。ウチも今、その真っ最中。大変よ、もう。

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それ以前においても(紀元前四〇〇〇年頃)、まだ人びとが鞍を使わずに馬に乗っていた時代に、もともとウクライナ地方でインド=ヨーロッパ言語を話していた人びとの居住地域が西方に広がっていった背景には、軍事的要素としての馬の存在が欠かせなかったのではないかと思われる。こうして広まっていったインド=ヨーロッパ言語は、バスク語を除く初期の西ヨーロッパ言語のすべてにとってかわっている。

バスク語の凄さったら。よく生き残ってますな。しかし馬は武力も輸送力も病原菌も運ぶんだからすごい。

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たとえば紀元前一六七四年には、まだ馬を持たないエジプトを、遊牧民のヒクソスが馬のおかげで征服し、一時ファラオの地位に就いている。
その後、鞍や 鐙 が発明されると、フン族などのアジアの遊牧民族が馬に乗って西方に押し寄せ、ローマ帝国やその後に興った国々を脅かしている。結局、十三世紀および十四世紀には、モンゴル人がアジア大陸の大部分とロシアを征服している。

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征服戦争において馬と同じく重要だったのは、家畜から人間にうつった病原菌の果たした役割である。天然痘、麻疹(はしか)、インフルエンザなどの伝染病は、人間だけが罹患する病原菌によって引き起こされるが、これらの病原菌は動物に感染した病原菌の突然変異種である(第 11 章を参照)。家畜を持った人びとは、新しく生まれた病原菌の最初の犠牲者となったものの、時間の経過とともに、これらの病原菌に対する抵抗力をしだいに身につけていった。すでに免疫を有する人びとが、それらの病原菌にまったくさらされたことのなかった人びとと接触したとき、疫病が大流行し、ひどいときには後者の99パーセントが死亡している。このように、もともと家畜から人間にうつった病原菌は、ヨーロッパ人が南北アメリカ大陸やオーストラリア大陸、南アフリカ、そして太平洋諸島の先住民を征服するうえで、決定的な役割を果たしたのである。

やはり病原菌のくだりが面白すぎる。まったく欠けていた視点です。特にコロナ禍で読むと震えるね。

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肥沃三日月地帯の人びとは、ニューギニアや合衆国東部の人びとよりずっと早い時期に、土着の野生植物を栽培化している。より生産性の高い植物、より有用な植物を栽培化し、より多様な作物を作りだしている。集約的な食料生産システムを発展させ、地域の人口密度をより早期に増加させている。その結果、肥沃三日月地帯の人びとは、ニューギニアや合衆国東部の人びとにくらべて、歴史上より早い時期に、より発展した科学技術、より複雑な社会構造、そして、他民族に感染しやすい伝染病に対する免疫力を発展させたのである。

長い歴史において、知力や武力よりも免疫力こそが生き延びる力だという。目からうろこの歴史観。面白い。

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このように、重要な大型家畜の野生祖先種が世界じゅうに一様に分布していたのではなく、大陸ごとに偏って分布していたことが、結果的にユーラシア大陸の人びとが銃器や製鉄の技術を発達させ、各種疫病への免疫を発達させたことにつながっている。

多様な動物がいたほうが抗体を獲得しやすい。真理のような気がしますね。

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この二つの大陸に対比するように、ユーラシア大陸は東西に伸びている。このように、世界の三大大陸は、その東西南北の広がりにおいて、驚くほど異なっている。大陸が東西に広がっていること、あるいは南北に広がっていることが、その大陸の人びとの歴史的展開に影響をあたえたとしたら、それはどのようなものだったのだろうか。

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季節ごとに変化する日照時間や気温、そして降雨量は、植物に発芽のタイミングを教え、苗木の成長をうながし、開花や成熟のタイミングを知らせる自然のシグナルである。植物は自然淘汰の過程を通じて、生存環境の気候に適した反応を示すように遺伝子がプログラムされている。そして、その生存環境の気候的要因は、その場所がどの緯度に位置するかによって決まるものが多い。

緯度が大事ってね。なるほどもっとも。
そう考えると多様性って本当に大切ですね。

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戦史は、偉大な将軍を褒めたたえているが、過去の戦争で勝利したのは、かならずしももっとも優れた将軍や武器を持った側ではなかった。過去の戦争において勝利できたのは、たちの悪い病原菌に対して免疫を持っていて、免疫のない相手側にその病気をうつすことができた側である。
病原菌は、コロンブスの1492年の航海にはじまるヨーロッパ人のアメリカ大陸征服において、もっともおぞましい歴史的役割を果たした。もちろん、残忍なスペインの 征服者 に殺されたアメリカ先住民の数ははかりしれない。しかし、スペイン側の持ち込んだ凶悪な病原菌の犠牲になったアメリカ先住民の数は、それよりはるかに多かった。

愕然としますね。震えるほど興味深い。人間って面白い。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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