『天才はあきらめた』感想3 南キャンを初めてみたときの衝撃を思い出した

いまや蒼井優さんの旦那ですよ。
これって山ちゃんのタレント化に拍車をかけますかね。

位置: 1,020
初めての単独ライブの準備、そこで僕はずっと付き合っている、ある問題にぶつかった。それは、僕の中にお笑いにおいて「これがやりたい」という気持ちがないということだった。
「こうすれば人は笑う、この有名人を使えばウケる」という考え方ばかりしてきたせいで、単独だから自由に自分の好きなネタを書いていいと言われても書けなくなっていた。
単独ライブが僕に突きつけたのは、自分がお笑いを生み出す能力があまりないという事実だった。

ウケたい、が先にあると陥るやつね。
山ちゃんはおそらく、タレント向きなんだな。
ネタを生涯作り続けるタイプではないのかも。それで成功しているしね。

位置: 1,043
できないという言葉は、冷静な分析なんていう良いものではなく、しんどい作業から逃げる簡単で恐ろしい言葉だ、そう思えた。

この根底にあるマッチョさ。あたしゃ山ちゃんが恐ろしいよ。

位置: 1,141
でも、おかげでもう一つ自分のすべきことがわかった。自分が笑っているときに、なぜ笑っていたかをノートに書きまくることだった。まだ爆発的におもしろいネタは書けないし、客席に自分を置くことはできなかったけど、そのゴールがあるということを知れただけで、努力する方法が増えたのが嬉しかった。

努力の鬼や。鬼。

位置: 1,225
その当時、しずちゃんはほかの男性とコンビを組んでいた。僕はそのときのネタを見て、ますますこの人を手に入れたいと思った。そのネタの設定は家庭訪問。教師をしずちゃん、相方が生徒という設定。
しずちゃん (インターホンを押す)たんぽーん
生徒    ピンポンだろ!
ウケていた。このネタを見てなんで組みたくなったか?
それは女性が生理用品をいじって笑いが起きるというところにあった。
これだけだと、僕のほうに変態感が出てしまっているが

わかるよ。しずちゃんの怪物感。すごいよね。
生で見たらいよいよすごいと思う。

女性芸人で下ネタが客席に引かれなかったら一流ですよ。

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だから、コンビにおける僕のポジションは?と聞かれると、おもしろい人の隣にいる人、ということになった。
それが今の南海キャンディーズの形となった。 「自分が楽しいとき」を思い出して、整理して公式にする。そしてそれに仕事をあてはめる。これは僕の中で大きな進歩だった。

大きな気付きだなぁ。これが国民的女優の夫へ繋がっていくわけだ。

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最高のガソリンになりました。腐るのではなく全てをパワーに変換する。何か嫌なことがあったらこの「変換」を真っ先に頭に置く。それをひたすらやっているうちにイライラも消えて、かつこんな状況を自分のために使えた俺ってすごい!と張りぼての自信貯金も貯まる。

何でも推進力に替えちゃう。バケモンだな。

位置: 1,530
「そんなキャラクター、すぐ飽きられるって私わかってるから、だから0点。以上」
そう言ってほかのコンビのところに行き、自分にぶつけた声よりも高い声で話し、笑っていた。
いつかこの人に全力で嫌な言葉を浴びせてやる。今はできない。今したら終わりだ。いつか覚えとけよ……。僕のノートには、その日のこのやり取りと、その人を罵倒するために自分が頑張らないといけないことをびっしり書いた。

怒りも真っ直ぐにエネルギーに。恐ろしい。
あれだけネタではネガティブで文化系な雰囲気でありながら、ガチガチのポジティブってのが怖い。ビジネス文化系だ。

位置: 1,741
僕は自分の番まで他の人のネタを見ないことにした。前がウケているとそれはプレッシャーとなって襲ってくるし、ネタのテーマが似ていたりすると自分たちがやるときに余計な考えが入り、フルスイングでネタができなくなる。自分の今日の1回戦でやるネタが揺るぎないものだと信じていたからこその作戦だった。目の前に勝負が来ているときは、自分の戦力の不安を確認し直すより、その不安を消す方法を導き出したほうがいい。

前向き。そうなんだよね。本番前はなるべく不安を消すほうがいいんだ。どうせ冷静じゃいられないんだから。

位置: 1,774
2本目のネタは、しずちゃんがMCの女性タレントに喧嘩を売るというネタだった。賞がかかった大会でこういうネタは嫌われるのはわかっていた。でもあの時点で一番自分たちをわかってもらえ、そして優勝より売れることに直結するのはあのネタだと僕は考えていた。
だから決勝戦進出が決まったとき、「よし! 優勝だ」ではなく「あのネタがテレビでできる。次につなげるぞ」という気持ちのほうが大きかった。  その時々の最終的な目標を考えて、そこへ行くには何を選択したらいいのかを考える。それは、間違っていなかったと僕は思って

優勝ではなくその次の「売れること」を視野にしている時点で他の参加者とは視点が違う。「次に繋げることが大事」と思ってコンペに参加している人ってどれだけいるのかな。

位置: 1,858
「私は私のペースでやる」
それを最後にしずちゃんは何も聞かなくなる。この言葉が嫌いなのは「私のペース」という言葉のオブラートの裏側にある、「しんどいと思いながらやるのは違うから、しんどくなるほど頑張らない」というところだ。少なくとも僕にはそういう意味に思えた。

怖えんだよ、マッチョな山里さん。

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でも気づいた。努力は外部からの指摘ではしようとならない。内から呼び起こさなくてはならない。
だから僕は自分が努力することで、焦りを向こうに生ませ、努力してもらう方向をとった。

部下の育成とかとも関わる重要なお話ですよ。「今わかってもらおうと思わない」って話がありましたけど、まさにそれ。
すぐ血が登っちゃうあたくしにも言えることだ。

位置: 2,336
そんな中、泥臭い掛け合いをヒラリとかわすゆったり目のテンポと優しいツッコミはとても新鮮に映った。
しずちゃんしか使いこなせない〝人〟が込められた 言霊 が放たれるやいなや、その抜群のワードセンスと間合いでそれを拾っていく山里亮太。
初めて目にする「否定や注意の向こう側」のツッコミに、何度も何度も度肝を抜かれた。

あとがきの若林氏の言葉。
間違いない。「説明」のツッコミに新たなバリエーションを加えたね。

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