『たまこラブストーリー』のノベライズ 一之瀬六樹著、映画で観られなかったものが在る

最高の映画でありました

近年のアニメの中でも数本の指に入る傑作、『たまこまーけっと』。
その劇場版がノベライズされましたので、当然、読了いたしました。

まず読んで思ったのは、映画は本当によく出来ていたということ。
文字化すると、あの映画の情報の半分以下しか表現出来ないのね。

つまり、あの映画の情報の半分以上はアニメーションで伝わることだった、という事実。
よく出来ていたんですなぁ、改めて。

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文字化すると失われるもの

まず、たまこがどう、もち蔵への気持を整理していったのか。
これについては観るたびに解釈が変わっていきました。

ここで気づく、いや、既にこのシーンでは気付きつつある、いややっぱりもうちょっと後になるか……

たまこの気持になって、揺れ動く乙女心を楽しむのが好きでありました。

ところが、ノベライズだとはっきり、「ここで気づきました」と書いてある。
何だか答えを出されたようで、すっきりもするし、「たまこの気持になってみようゲーム」の終焉をつきつけられたようで、悲しくもあります。

みどりちゃんの気持もそう。

みどりちゃんて、たまこのことが気になっていて、だからもち蔵に反感を抱いていて、で、途中で見直して、んで、自分の気持に区切りをつけて……このへんがきちっとしていない、ファジーな感じで物語が進んでいく。
そういうところが好きでした。

ただ、文字化すると、どうしても説明されてしまう。説明しなくていいのに。
そういうところが残念でした。

チョイ編はまったく新しい

このノベライズにあって、映画で全く触れられなかった物語。
それがチョイちゃんの物語。

島に帰った彼女が、どうやって自分の気持に向き合うのか。
王子の気持は?デラはどう絡む?

これは面白かったですね。
アニメでも語られつくされなかった余韻が、ここですっと腑に落ちていく。

いいじゃないですか。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』