映画『姿三四郎』 プロトタイプを観る喜び

正直、さほど筋が面白い話ではないんですよ。

   黒澤明監督の記念すべきデビュー作。時は明治のなかば、旧来の柔術と新興の柔道がせめぎあう中、姿三四郎(藤田進)は修道館・矢野正五郎(大河内傳次郎)の門下となり、柔道の道を突き進んで行く…。
富田常雄の同名大衆小説を原作に、ひとりの青年が柔道をとおして己を磨きながら成長していくさまが、それまでの日本映画にはなかったカラリとした味わいとして、さわやかに、そしてダイナミックにつづられていく。ヒロイン小夜(轟夕起子)との情感あふれる神社の境内での恋模様、そして嵐のなか、宿敵・檜垣源之助(月形龍之介)との宿命の対決などなど、現在の目でとらえても見事なまでに新鮮に映える娯楽映画としての見せ場の数々のとりこになること必至である。(的田也寸志)

話は単純で、演出も古典的。
ただ、古典的というより、これが古典なんでしょうね。

カラッとした三四郎の演出・演技、ライバルのいけ好かない男の、スカした感じ。
このテンプレ感は2010年代の今でも通じるところ。

僕らの世代はどちらかというと、

せがた三四郎、こっちのパロディのほうが馴染みありますが。

ただ、戦前・戦中映画に詳しい方からするとこれ以上の名作はないってなくらい、オールスターキャストのものなんだそうな。
新人監督・黒澤明に任せられるようなメンツではなかったそう。

スカッとする、スポーツと哲学との上手な融合。
そういうタイプの映画でした。
観て損はないが、観なくても損はないかな。

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