『新幹線大爆破』 これ、いいじゃないの

職場の上司が、「高倉健ならこれを観ろ」というので視聴。
いや、確かに、これ、いいじゃないの。

ある朝国鉄に、本日東京駅を出発した「ひかり109号」に爆弾を仕掛けたと、脅迫電話がかかってきた。犯人は今でいう「負け組」となった三名のグループで、新幹線に爆弾を仕掛け、誰も殺さず殺されずに巨額の身代金を得ようと完全犯罪を計画したのであった。終盤まで、犯人グループと警察当局・国鉄とのスリリングな駆け引き、そして乗客乗員らのパニックが続く。

“もし池井戸潤が犯罪者だったら”という感じ。執念と努力と根性が素敵です。

パニック映画としても優秀で、時速80km以下になったら爆発という仕掛け、“一人も殺さずに巨額を奪う”という犯人たちのポリシー、そしてそれを覆す妊婦の存在。
そして、使命感と使命感のぶつかり合い。
さらにそこに貧乏の悲哀、過激派の悲哀、出世の悲哀、組織の悲哀などを盛り込んで、結構やり過ぎなくらいの感情の総量です。

しかし、それでいて、全然ダレてない。
優秀な脚本です。

また、タイトルの『大爆破』が刺激的すぎて国鉄の許可が出なかったらしく、ミニチュアでのシーンを余儀なくされたところも多かったそうですが、なんのその。
ゴジラになれたこっちにとっちゃ、むしろそっちの方が美味しいくらい。

今観ると「ちゃちい」と思われそうですが、ジオラマにゃジオラマの味があるんです。
下手な3Dよりよっぽど興奮できる。
ま、ジオラマに興奮するんであって、物語に興奮できるかは別物ですがね。

でもでも、この映画は間違いないですよ。
素晴らしい。

興行的にはコケていたらしいんですけれども。
Wikipediaによるとずうとるびのドキュメンタリー封中編映画と抱き合わせ二本立て興行だったそうで、そりゃ、侮られるわな。

ただ、海外、とくにフランスでは評判が良かったらしいのです。
さすがフランス人。よくおわかりで。
ま、誰が観たってよく出来てますよ。これ、いいです。

高速道路での現金の受け渡しのシーンとか、スリリングで。
やっぱり高倉健は「やむを得ず悪事に手を染める善人」みたいな役が一番しっくりくるような気がします。

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