監督のマキノ雅彦というのは、俳優の津川雅彦氏のことだと、いま知りました。
上方落語界の重鎮・笑満亭橋鶴が今まさに臨終しようというとき、最後に謎のお願いの言葉をつぶやいた。それを聞いた弟子たちは、師匠の願いを叶えんと慌てふためくのだが……。果たして師匠の願いとは? ベテラン俳優の津川雅彦が、日本映画界の創始者である祖父・牧野省三と、早撮りの名手としてならした伯父・マキノ雅弘の名跡マキノ性を継いだ初監督作で、故中嶋らもの同名短編小説を映画化した人情喜劇。
清々しい喜劇。ここまで振り切って笑える映画も、悲しいことに珍しくなったような気がします。
こういう映画が観たいのよ。
変態仮面もいいけど、あれも喜劇かもしれないけど。
あれはどちらかというとギャグよね。あたくしはコメディが観たいのです。
モデルは松鶴氏でしょうね。
落語家の一門が、夜通し故人の話をする。芸人同士だから、当然、しょうもないことになる。この痛快さ。面白さ。
ギリギリのもの、バカっぽさ、クズっぽさ。こういうのを酒と悲しみと一緒に流す。そういうのを只、傍から観ている面白さ。
まるで自分がその一門に入ったかのような一門感。
こういうのを映画の中でスッと出してて、それでいて違和感ないまま笑わされる。
んで、すっと終わる。
2時間に満たない長さ。
こういうのを粋な映画だと、あたくしは思います。
エンディングのdon’t worry be happyもピッタリでね。
お気に入りは、途中の落語『らくだ』の下り。
まさか死んだ師匠を本当に担いで、『らくだ』を教わろう!とは。
また、死んだおかみさんを忍んで、下ネタ即興三味線対決。痺れましたなぁ。中井貴一vs堺正章。いいカタチでした。
きつい洒落も、そこが面白く、愉快痛快。
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