映画『東京家族』で、蒼井優が女神化されすぎていてシックリこない

窮屈そうに感じるのはあたくしだけでしょうか。

「男はつらいよ」「学校」シリーズの山田洋次81本目の監督作。映画監督生活50周年を機に、名匠・小津安二郎の「東京物語」(1953)にオマージュをささげた家族ドラマ。瀬戸内海の小さな島に暮らす平山周吉と妻のとみこは、子どもたちに会うために東京へやってくる。品川駅に迎えにくるはずの次男・昌次は間違って東京駅に行ってしまい、周平はタクシーを拾って、一足先に郊外で開業医を営む長男・幸一の家にたどり着く。すれ違った周平も遅れてやってきて家族が集い、そろって食卓を囲む。「東京物語」の舞台を現代に移し、老夫婦と子どもたちの姿を通じて、家族の絆と喪失、夫婦や親子、老いや死についての問いかけを描く。

言わずと知れた小津安二郎監督の『東京物語』を、大々的にオマージュしてリスペクトして作り上げられた本作。
その通り、カメラアングルやカットの仕方、色彩やストーリー、登場人物の立ち位置の関係まで、何から何まで「小津好きな人が作った映画だなぁ」と感じさせます。

普通は「◯◯好きな人が作った映画」というのは陳腐になって、高校や大学などでみられる「リスペクトげ」な作品に仕上がるのが常ですが、あまりそこは気になりませんでした。やはり役者の力、スタッフの力、そして監督の力でしょうな。

『東京物語』では、両親の相手をしてくれたのは息子の嫁さん・紀子氏でした。『東京家族』ではその紀子氏の役を蒼井優がやっています。これがまた、現代の女性らしく素直で強か。素直すぎて感情移入出来ないくらい。

途中、「いざというときのために持ってきたお金」を、お母さんが息子の恋人である蒼井優に渡すシーンがあるのですが、蒼井優はあそこでしっかりその気持を受け止めるんですね。
「え?受け止めちゃっていいの?」みたいな。「重くない?」と思うところですが、そこをガッツリ受け止める。

蒼井優氏を悪女にしろ、とまでは言いませんが、彼女のもつ「純朴さ」のようなものが神格化されすぎていてちょっと気持ち悪かったです。
でも、映画としては結構楽しめました。