鴨志田一著『Just Because!』感想 俺にはなかった青春

隠れた名作アニメの原作。

2017年10月より放送のオリジナル青春アニメ『Just Because!』の原作小説。高校生活、残り3ヶ月。告げられない想い、受験や就職、将来への不安……消化するだけだった日々に淡い輝きが差す。

高校三年の冬。残りわずかとなった高校生活。このまま、なんとなく卒業していくのだと誰もが思っていた。突然、彼が帰ってくるまでは。中学の頃に一度は遠くの街へと引っ越した同級生。季節外れの転校生との再会は、「なんとなく」で終わろうとしていた彼らの気持ちに、小さなスタートの合図を響かせた――。2017年10~12月に放映となるテレビアニメの原作小説。湘南を舞台にした青春群像劇を、アニメのシリーズ構成・脚本を手掛けた鴨志田一が執筆。

こういうのがいいんだよ。『月がきれい』と本作は、どっちとも定期的に観たくなる。味わえなかった青春を、取り戻すために……。

位置: 1,919
電車が動かなくて、とにかく不安だった美緒の前に突然彼は現れた。試験を受けられなかったらどうしようと、こわくてたまらなかった美緒を助けてくれた。心が折れて、諦めそうだった美緒の腕を引っ張って、試験会場まで連れて行ってくれたのだから……。
あの頃から、ずっと彼はそうだ。
そんなことに今さらのように気づく。
そこにどんな意味があるのかだって、もうわからない年齢じゃない。
体がぽかぽかと熱を帯びていく。顔なんて熱いくらい。
画面の消えたスマホには、見たことのない表情をした自分が映っていた。

アニメでは消化できなかった部分が、鮮明に描かれる。
つくづく、自分の恋愛偏差値の低さを痛感しますね。こんな駆け引き、かみさんとはしなかったなぁ。

したかった、とは思いませんが、した経験は欲しかったと思いますね。

位置: 1,950
「私、デートに誘ってもいい?」
彼女は視線を逸らすことなく、美緒の目を見てそう告げてきた。
どう答えようかなんて考えもしなかった。
考える前に、答えは言葉になっていたから。
「ダメ」

いいよね。このシーンはほんと。
アニメでも良かったし、文章でもいい。ぐっときます。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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