『伸ばしたいなら離れなさい ~サッカーで考える子どもに育てる11の魔法~』感想 大人は手伝うのみ

別に魔法使いになる必要はないのですが。

少年スポーツ界“No.1”子育てバイブル。

自主練習、撮ったビデオで反省会、チーム選び…。
大人のとらえ方、接し方次第で、子どもに悪影響!?

逆説的なようですが
大人が離れることで子どもは必ず伸びる!
そして考え始めます。

では、離れるということはどういうことでしょうか。

本書はその具体的な接し方、言葉かけ、心得などがわかります。
11の“魔法の習慣”です。

1失敗させる…親、学校、社会。寛容の三重丸をつくりましょう
2 大人は消える…子どもが自分でやり通せるように
3 眺める…成長のらせん階段を見守りましょう
4 答えを持たない…答えは教えず「考える子」にしましょう
5 他者を感じさせる…社会で通用するコミュニケーション能力を!
6 選ばせる…やる・やらない。大人が決めるのをやめる!
7 質問を変える…「すとんと落ちる」まで対話を
8 「ほめる」より「認める」…“失敗を認める働きかけ”を学んで
9 リスペクトする…「子どもの人権」を理解しましょう
10 刺激する…強さではなく、質の高い刺激を
11 大人の出番を心得る…大人の出る幕は、たった3つ

50万人の子ども達を指導してきた著者の
実践から見えてきた結論、説得力があります。

うちの子、上が4歳になったので、そろそろ習い事なんぞも始まっているんですね。バレエにピアノ。ちょっと前までサッカーをやっていましたが、楽しくないそうなので辞めました。

なにか一つ、運動はやらせたいと思っていたので(出来ればあたくしがやっていたサッカーが良かった)、本著をとりあえず読んでみました。

位置: 270
まずは、子どもの失敗やネガティブなことを責めず、「大丈夫だよ」と言って次のチャレンジを見てあげてください。そして、「お父さんはこんなに頑張った」「優秀だった」といった武勇伝ではなく、失敗談を伝えてください。 (お父さんだってたくさん失敗したけれど、ちゃんと大人になっている。大丈夫だ)  特に父親を超えたい男の子は、安心するでしょう。いつも伝えることですが、親は子どもがホッとできる安全基地にならなくてはいけません。 「私はほめるのが苦手なので、他人にほめてもらえ」と語るお父さんもいますが、子どもが一番認めてほしいのは、間違いなく自分の親なのです。

つい偉大な父親になりたがってね。いけません。身近な相談者であるためには失敗ほど伝える。これ大事ね。

位置: 321
ただし、わが子がミスをしたとき、どうするか。そこに一度注目してみてください。もしお母さんやお父さんのほうをちらりと見たり、顔色をうかがうようなそぶりがあるのなら、しばらく観に行くのをやめましょう。期待にこたえたいから、親御さんの前で失敗するのが怖いのかもしれません。たくさんミスをして上達するスポーツなので、親がそこにいるだけで逆効果になってしまいます。  逆も然りです。ゴールを決めると、仲間よりも親のほうを見てガッツポーズする男の子がいました。親の期待を一身に感じているからです。パスをつないでくれた仲間、一緒に戦う仲間と先に喜びを分かち合えるようになってほしいと思いました。

良し悪しでしょうねぇ。親の顔色を伺うって書くと非常に悪いことですが、チームメート以外にも気をつけると書けば長所でもあるわけで。難しいね。

位置: 397
彼らの育ちに迫ったところ、共通していたのは「やりたいことを自由にやらせてくれた」「否定せずに見守ってくれた」といった親像でした。  このようなエビデンスはたくさんあるのに、子育てが「○○をやらせる」「厳しくやらせる」といったとらえ方になっているのが現実です。

アンネの日記にもありました。「親は子供のサポートしか出来ない」ってね。そのとおりなんでしょうね。「こうあってほしい」ではなく「自分らしく在るために助けてあげたい」が親のあるべき了見なんでしょうな。

位置: 591
もしくは、「今できないこと」に目がいってしまい、成長に気づけない。これは、日本の過去の子育てが全般的に、「よいところをほめて伸ばす」よりも、「ダメな部分を矯正する」教育に軸足があった影響かもしれません。親自身も「ここがダメ」「次の目標はここ」と干渉されがちだったからです。  子どもができないことが気になったり、成長していないと感じたら「子どもの成長はらせん階段なんだ」と思い出してください。上から見ているばかりではなく、たまには視点を変えて、子どもの姿を眺めましょう。

成長は螺旋階段、いい言葉ですね。まっすぐはなかなか伸びないんですな。あっちへぐるぐる、こっちへぐるぐる、そうやって上に伸びるものなんですね。

位置: 679
サッカーの練習で4人で四角形をつくってパス回しの練習をすることがあります。4対2、4対3と、難易度が上がると守備の人数が増えます。通称「鳥かご」などと言われる練習です。  グリッド(四角形の広さ)を大まかに決めるためマーカーを四つ置いて行ったりします。グリッドが決まっているため、日本の選手はそこから出ません。  すると、オシムさんから注意を受けます。 「おまえ、どうしてそこに行かないの? そこじゃもらえないでしょ?」 「グリッドがあるので」と説明すると、再び怒られます。 「試合のピッチにグリッドなんてあるのか!?」  いやいや、そうしたら、なんでグリッド置いてんねん? と選手は言いたくなりますね。見ていて、本当に面白かったです。 「日本人は、コーチが右に行けと言ったら、右に行くね。ヨーロッパの選手はわざと左に行くよ」  オシムさんはよく日本人の従順さを嘆いていました。よって一見破天荒な練習のようで、決めごとをその通りにやる欠点を修正しようとしていたのかもしれません。もしくは、「試合中はどうする?」の発想を植えつけたかったのでしょう。

いや、ほんと、だったらなんでグリットあるねん?ですよ。とはいえ、オシムはそうやって意地悪でもなんでも、既成概念を打ち破って考えるコツを教えたかったんでしょうかね。ほんと、いい性格しているよ。

位置: 702
当初はこの「答えをもたないオシムスタイル」に、選手もスタッフもついていけませんでした。「監督はおかしいんじゃないか」とか「こんなの続かない」とブーイングの嵐でした。  そんななか、私が感心したのは、オシムさんの練習がボールを使うものばかりだったことです。ボールを動かしながら、選手たちは走力をつけました。日本でよくあるただひたすら走るような前近代的な練習ではなかったため、選手は飽きることなく意欲的にサッカーに取り組めたのでしょう。  ボールと一緒にヘロヘロになっても走り続ける彼らに、「苦しくなってから選ぶプレーがある」とオシムさんは言いました。自分たちが苦しいなら、ついてくる相手も苦しい。相手より走れたら、苦しいときに相手よりも上のプレーができたら、勝てるわけです。

理論的な根性論というか。根性も筋道がしっかりしていれば論理的な行動なわけです。オシムさんは本当に見ていて面白かった。意地悪だとは思ったけど。オシムジャパン、見続けたかったな。

位置: 728
ある日のこと。私がブラジル人コーチのジョゼ氏とグラウンドで立ち話をしていたら、そこにオシムさんがのっそりとやってきました。背後には通訳を兼ねていた日本人コーチがいます。 「何をしてるのか?」  私は「小学生にどんな練習をさせたらいいのかなと考えてます。どんなことを教えたらいいですか?」と尋ねました。  いつものように即答でした。 「サッカーのやり方を教えるのではなく、試合することを教えなさい」

位置: 734
「子どもたちは戦術とかそんなことではなくて、試合から学べることがたくさんある。日本人は練習好きだが、もっと試合をしたほうがいい。それと、できるだけ若いときから、2対1や3対2などの数的優位の練習をたくさんさせたほうがいい」

練習はあくまで試合のため。あるんですよね、練習のための練習になるものが。自戒を込めて。

基本的に育児に対する考え方は近いので、読んでいて苦になりません。すいすい読める。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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