知らないことと、思い出すこと。『十五の夏』を読みながらポツポツ考えつく。

色々知らなかったことが出てきます。「白系ロシア人」とは白人系という意味ではなく、赤に対比するところのロシア人、つまり帝政復権を望むロシア人のことなんだそうな。ロシア革命のときに亡命してたりするんだそうな。知らないことばかり。

ソ連・東欧一人旅。人生を変えた40日間。
高1の夏休み、日本を飛び出し出会った外の世界。
異能の元外交官にして、作家・神学者である“知の巨人”の原点。

若いうちに外の世界を見ておくと、後でそれは必ず生きる。そのことをきっかけにして、自分がほんとうに好きなことが見つかるかもしれない。ほんとうに好きなことをしていて、食べていけない人を僕は一人も見たことはない。ただし、中途半端に好きなことではなく、ほんとうに好きなことでないとダメだ。十五の夏のソ連・東欧一人旅は、神様が準備してくださった道だった。

→モスクワ→サマルカンド→ブハラ→タシケント→ハバロフスク→ナホトカ→バイカル号→横浜

上下巻にもかかわらずあっという間に読んでしまう。名著だな。娘たちにも読ませたい。

位置: 1,400
思想が何度も変わることは、人生にとても否定的な影響を与える。自分で自分を信じられなくなってしまう」
「どういうことでしょうか」
「日本人は思想に関して鈍感だ。だから、天皇制神話のようなものを本気で信じ込んでいた。もっとも陸軍の情報将校では、 神憑り的な皇国神話を信じていた人は少ない」
「信じているふりをしていたということですか」
「そうだ。現在のソ連共産党幹部がマルクス主義を信じているふりをしているのと同じだ。

思想が何度も変わることは、否定的なんでしょうかね。コロコロ変わるのは軽薄なだけで、別に否定的じゃないような気がします。とはいえ、シベリアに拘留されていた人の意見ですから、軽々しくは言えませんが。

位置: 1,417
個人ならば、隣に嫌な人がいれば、引っ越すという選択肢がある。しかし、国家の場合、引っ越すことはできない。だから、日本は、ソ連、中国、韓国、北朝鮮とは仲良くしていかなくてはならない。そのためには、こういう隣国を良く知った専門家を育成していかなくてはならない。外国の専門家になるには外国語の知識が不可欠だ。

間違いないんですよ。そう、隣国を嫌っている場合じゃないし、もともとは親しい文化なんですから。なんつってもね、聞く耳持たないか。

位置: 3,481
「ロシア人は、シャンペンとウオトカを混ぜて飲むことはあまりしません。悪酔いをするからです。シャンペンを飲んだ後は、ワインかコニャックを飲みます。ウオトカを飲むときは、最初から最後までウオトカです」

ちゃんぽんすると悪酔いする、というのは人類普遍の法則なんだね。

位置: 4,112
観光が終わって昼過ぎにホテルに戻ったが、お腹が空かない。昨夜の出来事があまりに不快であったために、食欲が抑えられているようだ。人間の偏見はほんとうに嫌になる。

言えてる。海外旅行で痛感することよね。いろんな偏見にさらされることは、気をつけなければならないけど、いいスパイスになることもある。

位置: 4,460
「五木寛之は小説もいいけれど、対談も面白い」と酒匂さんが言った。 「僕は対談は読んでいません」と青年が反応した。 「『箱舟の去ったあと』が面白かったです。中学3年生のときの担任が五木寛之のファンで、ホームルームの時間に、羽仁五郎との対談を読み上げて紹介していました。『人生をおりる』ことの意味について、担任は話していました」と僕は言った。

「人生を降りる」ってね。いい言葉だよ、ほんと。
そこから何故か、その対談の引用に話が及ぶんだけど、それが以下。

位置: 4,469
あの『さらばモスクワ愚連隊』というあなたのデビュー作の中で、あなたは自分の一生の文学の原則をはっきりと書き切っている。

位置: 4,476
あの『さらばモスクワ愚連隊』の主人公がジャズバンドをやめたときに、「自分は人生からおりた気でピアノをやめた」といっている。あれがあなたの文学の最大目標だろうと思うんです。あの「人生をおりた」という言葉は、ダイヤモンドのように輝いている。みんな人生からおりなきゃだめだよ。いまの若い人たちを見るとそれがわかるね。みんな人生をおりようと志してるんだ。学生でも、青年労働者でも。そういうところにこそ、文学もあるし、学問も、運動も、そして青春というものもあるんじゃないか。

位置: 4,500
人生の夢をあきらめても、腐ってしまわないためには、『人生をおりる』という自発的選択が重要なのだと思う」

人生を降りた所に文学がある、か。そうかもしれない。少なくとも、人生を降りたところにあるものが人間を救うのは間違いないと思う。それが文学であれ音楽であれ絵画であれ。

腐らないことが大切だね。

位置: 4,513
「第1志望の大学に進学できなかった学生で、『人生をおりる』という発想ができない人は、受験の失敗体験が一生尾を引く」
「どういうことでしょうか」
「自分には能力がないという劣等感に悩まされる」
「事実だから、仕方ないのではないでしょうか」と僕が言うと、酒匂さんは首を横に振った。
「そうじゃない。人間には才能だけじゃなく、適性もある。受験勉強に強い学生が、研究職に向いているわけではない。受験勉強には、それに耐えられる適性も重要になる。

受験時代はそうは思ってなかったけど、大人になればある程度分かる。受験は偏差値の高いところにいくことより、結果をどう受け入れるかのほうが大切。受験勉強が終わった瞬間に勉強をやめるようでは、意味がないということを肌でも頭でも理解できるようになるまで、あたくしも随分かかりました。

なんだか昔のことを色々と思い出すな、この本。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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