『カササギ殺人事件 下』感想2 そしてジェットコースターは後編へ

しいていえば、「騙されたー」感が薄いのが物足りないですかね。エンタメ寄り。

位置: 3,257
「よくもまあ、そんなことを!」
「どうしていけない? アラン・コンウェイはきみのことを笑ってたんだ、スーザン。ほかの誰のこともね。文学のことなら、ぼくにだってわかってるさ。いいか、これでもぼくはホメーロスを教えているんだ。アイスキュロスもね。アランだって、そうした本の価値はわかっていたはずだ――自分の作品と引き比べてね。あんなものは、下手くそな紙くずさ!」
「わたしは、そうは思わないわ。あのシリーズは、どれもよく書けているもの。何百万人もの読者が楽しんでいる本なのに」
「あんなものに価値などないね! 八万語を費やして、結局は執事が犯人でした、なんて話にすぎないじゃないか」
「鼻持ちならない教養主義者みたいなことを言わない

ま、結局、ミステリってそういうもんですからね。
「犯人がわかったからってどうなんだ」と言われたら最後。

でも、だからこそ、尊いんだけどな。分かる人に分かれば良くて、だからこそ最高の趣味。

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「アティカス・ピュント」
「そう、Atticus Pündのアナグラムを解くと、その答えは 馬鹿 ま ん……」  この最後の言葉を書かずにおくことを、どうか許してほしい。

このアナグラムってやつ、時々西欧のやつに出てきますが、あたくしはそんなにときめかないんですよね。アルファベットに対してさほど思い入れがないからか。必然性が薄いからか。それにしても、a stupid cuntだそうですよ、奥さん。なんのことでしょうね。

位置: 4,428
これがカインの呪いなのか――陽の当たる場所から追いやられ、さまよいながら逃げつづける運命。どう正当化しようとも、チャールズはアランを塔の上から突き落とした瞬間、自分に残っていた人間らしさすべてに別れを告げてしまったのだ。

カインというとあたくしはすぐFFⅣになってしまうんですが、ようは殺人者ってことでさあね。嫉妬の象徴ってことですな。

位置: 5,320
本書『カササギ殺人事件』は、アンソニー・ホロヴィッツがYA向け以外で初めて書いたオリジナル・ミステリだ。幼い頃から物語世界に救いを求めて読書にふけり、作家をめざし、《女王陛下の少年スパイ! アレックス》シリーズを始め数々のYAミステリのヒット・シリーズを生み出し、「刑事フォイル」や「名探偵ポワロ」の脚本家として腕を振るい、コナン・ドイル財団とイアン・フレミング財団から公式認定を受けて、それぞれ『シャーロック・ホームズ――絹の家』と『モリアーティ』、『007――逆襲のトリガー』と Forever and a Day という、恐ろしく完成度の高い続編をものしてきたアンソニー・ホロヴィッツ。

コナン・ドイル財団とイアン・フレミング財団の公認でモリアーティと007を書くってんだからすごい。ほんとうにすごい人なんだな、ホロヴィッツ。

ミステリの精度という点では★3つですが、エンタメとしてのクオリティが高い!すごい作品ですね。

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都内在住のおじさん。 3児の父。 座右の銘は『運も実力のウンチ』

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