『「リスク」の食べ方』感想 ゼロリスク神話ってことですね

岩田健太郎さんの2012年の著書。

放射能に汚染された食品は危険。食中毒を引き起こすレバ刺しは禁止。食にはさまざまなリスクがあるが、食の絶対安全は可能だろうか?一方で、健康にいいからグルコサミンを摂取する、抗酸化物質を排除するといったブームもあるが、それは本当に効くのだろうか?本書では、危険であれば拒否し、効果があれば礼賛する状況に抗するため、それぞれの問題を丁寧に検証していく。「安全」「安心」はただでは手に入らない。

おっしゃっていることは至ってまともだし、まあそこそこ難解。
あたくしは半分も理解はできていないでしょう。納得はしていますけどね。

p149
一方、日本人の食生活はたしかに欧米化しましたが、現在でも日本人は総じて長命なのです(中略)1950年の日本人の平均余命はまだ58.0年でした。それ以前はもっと短かったのです。元禄時代の食生活は、長命には関係なかったのです。

昔はよかった、昭和はよかった。特に伝統の日本食は良いという意見に対するクリティカルな反証ですね。

p173
しかしこれは帰納法に対する大きな勘違いです。帰納法は何かを証明しないからです

99匹のカラスが黒いからといって、100匹目が黒いとは限らない論ですね。

p216
野田首相や細野原発相を無理やりプッシュしたのは、医学会、医療会なのではなく(今の医学会にそんな政治力ないし……)、あくまでも経済界産業界なのです。原発を止めていては「日本の社会は立ちゆきません」の「社会」とは経済、産業の業界のことなのです。

当時はあたくしも、原発は仕方ないと思っていましたが、いまは違いますね。
産業や経済はそれほど優先されるべきではないと考えています。子どもができたってのはデカイね。

p219
両者のリスクのこの特徴の違いを考えた上で、僕は停電リスクの方が「まだまし」と思うのです。リスクから目を背けず、そこから逃げず、リスクを引き受けるというやり方で、僕はこの問題を考えたかったのです。

同感。リスクが人間の裁量を遥かに超えてるよ。

p222
でも、僕が思うに「安全と安心」という形容は間違っています。いや、もっと言うならば、安心なんて必要ありません。必要なのは安全だけです。

思考を止めちゃうからね。
ま、でも、岩田先生のように頭を回転させるのをいとわない人ばかりじゃないというのも現実ではある。

まとめ

いうことはイチイチ納得。
しかし、正論すぎても人はついてこないんじゃないかなぁ。あたくしは好きだけどね。

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